番外編 マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)
2017/08/30
今回のテーマは『マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)』。聞き慣れない言葉だと思いますが、東京オリンピックのマラソン代表選出に向けた日本陸連の新しい取り組みのことです。そのシリーズの初戦が先日開催された北海道マラソン。ということでこの機会にMGCを整理してみたいと思います。
<マラソングランドチャンピオンシップ(以下、MGC)の経緯>
これまでオリンピックのマラソン代表選出に関しては、以下の通り様々な形で世間を騒がせてきました。
・ソウル五輪の選考レース、福岡国際マラソン。
中山竹通が瀬古利彦の欠場について『僕なら這ってでも出る』発言
・バルセロナ五輪、有森裕子との選出問題。松野明美、異例の記者会見『私を選んで』
・アテネ五輪の選考における、シドニー五輪金メダリスト高橋尚子の落選
マラソンの代表は最大3人。それに対して選考レースは前年の世界陸上と国内3大会の4つがあり、気象条件やコース環境も異なるため、最終的には選ぶ側の『主観に左右される』側面がありました。
※リオ五輪の国内選考レース(3大会)
男子…福岡国際、東京、びわ湖
女子…さいたま国際、大阪国際、名古屋ウィメンズ
選考レースを統一して一発選考を推す声もありますが、様々な事情を踏まえ、最終的に行き着いたのがこの新しい仕組みです。その中身を一言でいえば『一発選考』と『複数大会選考』の折衷案。
国内複数の大会をシリーズ化して予選大会と位置付け、そこで一定の記録を収めた選手のみが新たな選考レース『MGC』へ出場します。そこで男女各2枠を決定し、残る1枠はMGCファイナルチャレンジとして、国内大会で最も速いタイムを出した選手が選出されます。
※詳しくはこちらの公式HPへ http://www.mgc42195.jp/
<MGCの特徴・狙い>
MGCの特徴や狙いとして、以下のものが挙げられます。
①選考基準の明確化
上述の通り、マラソンの代表選考は様々な問題が発生してきましたが、その原因は選手の実績やレース展開、レースの状況などを踏まえて『総合的に決定する』というあいまいな選考基準にありました。新しい仕組みによれば、選考基準により『自動的に』選手が決定されることになります。
②「暑さ」に強い選手の選出
国内の選考レースはいずれも冬に行われるマラソン。冬マラソンで結果を出しても、夏の暑さに対応できるとは限りません。そのためMGCは9月以降、比較的暑さの残る時期に行われ、暑さに強い選手の選出を図ります。
③準備期間の拡大
MGCが東京五輪の1年近く前に開催される予定のため、選手は早めに内定を受け、準備を進めることが可能です。
<北海道マラソン>
そしてMGCシリーズとして初めて行われたのが先日の北海道マラソン。MGC出場のために北海道マラソンで求められるタイムは次の通り。
注目の結果は次のとおりでした。
男子、女子とも優勝者1名がタイム基準を上回りMGCの出場権を獲得する結果となりました。まだまだMGCシリーズは始まったばかり。これから選手がどれだけ出場権を獲得していくか、ぜひご注目ください!