Vol.72 最後の福岡国際マラソン
2021/12/15
今回のテーマは「最後の福岡国際マラソン」。マラソン大会の投稿が続いておりますが、長い歴史を有する福岡国際マラソンが本大会をもって終了という象徴的な出来事であり、トピックスとしてお伝えできればと思います。また日税ビジネスからも松本、齋藤の両名が参加しましたので、現場リポートも一部ご紹介いたします。
<エリートマラソンから市民マラソンへ>
かつては「世界最高のレース」と称され、「事実上の世界選手権」とも呼ばれた福岡国際マラソン。1967年に世界で初めて2時間10分の壁が破られ、これまでに世界最高記録が2度、日本最高記録が8度も誕生。2020年には陸上競技の発展に貢献したことが評価され、世界陸連から陸上の世界遺産「ヘリテージプラーク」を贈られたばかりの時期での終了は、マラソンランナー、マラソンファンにとって本当に残念なニュースでした。
大会終了の主な理由は、財政面など大会運営状況とのこと。近年、市民ランナーも参加できる大規模都市型大会が主流となっており、国内でも2007年に東京マラソンが始まると、3万人規模の参加料に加え、広告効果の高さからスポンサーも集まるメジャー大会に成長。トップ選手にとっても、駅伝などのシーズンを終えて走りやすい時期に、起伏が少ない高速コースの東京を走る流れが定着し、福岡国際マラソンに出場する選手は少ない状況が続いていました。
東京マラソンをきっかけにランニングをする人が増加し、全国各地で市民マラソン大会が生まれていくことが、びわ湖に続いて福岡国際の終了にもつながるという、皮肉な結果になってしまいました。
<レースの模様>
当日は気温が10~15℃、日差しもあり、風もあまりない絶好のコンディション。先頭集団は2分58秒/kmというハイペースで進むも、中間点以降は絞られていき、30km以降はペースを落としながら粘る展開に。マイケル・ギザエ選手(スズキ)が2時間07分台で優勝、2位の細谷選手(黒崎播磨)が2時間08分台と、東京マラソンやびわ湖毎日マラソンと比べると記録面では少し物足りない結果になりました。
また日税グループから出場した齋藤は2時間21分24秒で59位、松本は2時間24分00秒で68位という結果でした。齋藤が怪我明け、松本も足の痛みがある状況でしたが、12:10という昼スタートのせいか、季節的なものか、コースの特性か、福岡国際マラソンは少し難しい印象は拭えないところでした。(写真:集団の様子では、後列に齋藤・松本が並ぶような形)
<アフター福岡>
福岡国際マラソンが終了となり、日本代表選考レースの1つが無くなることに。近年、男子の選考レースは「福岡・東京・びわ湖」の3大会でしたが、今後は2月1週目の「別府大分毎日マラソン」の注目度が上がるとともに、12月3週目の防府読売マラソンが12月1週目に時期を移すなど、状況の変化が見られそうです。また、びわ湖毎日マラソンは2022年大阪マラソンとの統合大会となりますが、トップ選手がどの程度集まりどのような記録が出るのか、翌年度以降に大阪マラソンの位置づけがどうなるのかも未知数。コロナにより市民マラソン大会も開催/中止が分かれており、まさにマラソン大会の過渡期と言える状況になりそうです。