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教えて熊王先生 消費税の落とし穴はココだ!税理士 熊王征秀

相続発生後に気を付けたい! 消費税の届出書や申告の確認

2016/09/21

Q.私の父は、新築物件の建築費について消費税の還付を受けるため、「課税事業者選択届出書」を事前に提出していたところ、本物件の完成前に不慮の事故により死亡しました。相続人である私は、被相続人である父に代わり、消費税の還付を受ける予定でおりますが、父の提出した「課税事業者選択届出書」の効力は、相続人である私に承継されることになるのでしょうか。

A.
 被相続人が提出していた「課税事業者選択届出書」は、あくまでも被相続人についてだけ適用されるものであり、事業を承継した相続人についてまで適用されるものではありません。したがって、相続人が引き続き課税事業者を選択したい場合には、あらためて「課税事業者選択届出書」を所轄税務署長に提出しなければなりません。

〇課税事業者選択届出書の効力
 「課税事業者選択届出書」は原則として事前に提出することになっています。ただし、相続による事業承継の場合には、相続があった日の属する課税期間中に届出書を提出すれば、相続人はその課税期間から課税事業者になることができます(消法9④、消令20①二)。

 
被相続人が提出した「課税事業者選択届出書」の効力は相続人に引き継がれず、被相続人の死亡と同時にいったんリセットされるということです。結果、「課税事業者選択届出書」を提出しない限り、相続人は課税事業者になって還付を受けることはできないことになります。

 相続が発生した場合には、とかく遺産分割協議や相続税申告の準備などに関心が偏りがちですが、消費税をはじめ、所得税などの申告や届出書の確認も怠りないようにしなければなりません。

〇簡易課税制度選択届出書の効力
 
被相続人の基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、事業を承継した相続人は、納税義務の免除の特例規定により、相続があった日の翌日から課税事業者となります(消法10①)。


 この場合における「簡易課税制度選択届出書」の効力ですが、被相続人が提出してい「簡易課税制度選択届出書」は、あくまでも被相続人についてだけ適用されるものであり、事業を承継した相続人についてまで適用されるものではありません。したがって、相続人が簡易課税を選択したい場合には、あらためて「簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署長に提出する必要があります。

 「簡易課税制度選択届出書」は原則として事前に提出することになっています。ただし、新規の開業や相続による事業承継の場合には、相続があった日の属する課税期間中に届出書を提出すれば、相続人はその課税期間から簡易課税により申告することができます(消法37①、消令56①一・二)。

 なお、相続人が年初から課税事業者の場合には、たとえ相続人が「簡易課税制度選択届出書」を相続があった日の属する課税期間中に提出したとしても、その提出日の属する課税期間から簡易課税により申告することはできませんのでご注意ください。

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