動物愛護法を知っていますか?
2018/08/23
我が国のペットの数は、犬と猫を合わせて約2000万頭で、15歳未満の子どもの数の1600万人よりも多いとされています。我が国では、高齢化が進むのと歩調を合わせるようにして、ペットの家族化がものすごい勢いで進んでいたのです。こうした社会の変化を受けて、1999年には動物の虐待や遺棄の防止を掲げる「動物愛護法」ができました。しかし、内閣府の調査によると「動物愛護法」の存在自体を知らない人が46.5%、存在は知っていても、内容は知らないという人が32.3%、両方合わせると約80%に上りました。これでは、動物の虐待や遺棄はなくなりません。
動物の虐待では、2017年8月27日に動物愛護法違反で警視庁に逮捕された埼玉県さいたま市の税理士の事件は非常にショッキングなものでした。鉄製の檻に閉じ込めた猫に熱湯を浴びせたり、ガスバーナーで焼いて黒焦げにしたり、瀕死の猫の歯をペンチで抜いたりして、少なくとも13匹の猫を虐待し、その様子を動画公開していたのです。
一方、動物の遺棄の方はというと、いらなくなった動物は各地の都道府県で管理する動物愛護センターに収容され、引き取り手がない犬や猫は殺処分といわれる方法で減らされていました。殺処分は、特殊な装置に入れられた後、二酸化炭素が送り込まれて数分で死に至ります。
それはあんまりだというので、動物愛護センターから殺処分寸前の犬や猫を引き取り、里親を探して譲渡することを目指す動物愛護団体などが出てきていますが、それはそれでなかなか難しい現実の壁があることは、ビッグコミックオリジナルに連載中の漫画『しっぽの声』(原作:夏緑、作画:ちくやまきよし、協力:杉本彩)などを読むとわかります。
週刊新潮の2018年5月18日号では、この問題が取り上げられ、『犬「殺処分ゼロ」でふるさと納税をかき集める「NPO」偽善の履歴書』という見出しで、センセーショナルに報道されました。
記事の内容は、広島県神石高原町のNPO法人が、町へのふるさと納税の資金8億円を受けて、広島県の動物愛護センターから引き取った1000頭以上の犬を収容しているが、その実態は「殺処分ゼロ」の看板に偽りがあり、また、保護した犬に不妊手術を行わずに里親に譲渡するのは、犬を増やし続けることになり、動物愛護に結びつかないというものでした。ふるさと納税の受け皿になっている上石高原町としては、よほど余禄があると見えて、歓迎の様子ですが、他の多くの動物保護団体や福祉関係の団体などは、公開質問状を出すなど、このNPO法人の事業には疑問を投げかけているようです。