日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

トラブルは現場で起きている!

非営利団体がマネーロンダリングの隠れみのに

2022/05/30

 日本のマネーロンダリング(資金洗浄)対策は、NPOを隠れ蓑にした資金洗浄など、非営利団体への監視が不十分であると指摘されています。2021年8月、国際組織「金融活動作業部会」(FATF)から、我が国の対応は「実質不合格」であるとの判定が下されました。

 FATFでは、非営利団体は特に無防備であり、各国は、これらが以下の形で悪用されないことを確保すべきであるとしています。

(a)合法的な団体を装うテロリスト団体による悪用

(b)合法的な団体を、資産凍結措置の回避目的を含め、テロ資金供与のためのパイプとして用いること、及び
(c)合法目的の資金のテロリスト団体に対する秘かな横流しを、秘匿・隠匿するために用いること。

 これを受けて、文部科学省では、「非営利団体である学校法人の組織が悪用され、マネロンやテロ資金供与に加担しないようにするため、所轄庁において監督を行うことが求められています。」と注意喚起を図っています。

 また、内閣府でも公益法人に対して、非営利団体には次のような脆弱性と脅威があると述べています。

【脆弱性】
・テロ行為にさらされている地域やその周辺で活動を行っている。
・海外送金、国外の者への資金提供を行っている。
・資金提供先での資金使途が不明である。
・相当量の資金へのアクセスを有する。現金を集中的に扱う。

【脅威】
・テロ関係者が非営利団体を設立し、資金調達、資金移動、リクルート活動又はテロ支援活動を行う。
・テロ関係者がNPOに関与し、寄附金を横領又は資金移動を行う。
・NPOのパートナーである国外NPOにテロ関係者が関与している。

 そのため、取引の決済等において、これらの点に留意し、可能な限り各国の当局により規制された正規の金融機関を通じて実施するなど、適切な対応をとってほしいとしています。

 非営利団体を隠れみのにしたマネーロンダリングは、かつてある私立大学医学部の裏口入学の寄附金が数十の財団法人に分散され、福利厚生事業資金として洗浄されているのではないかと疑われた事件がありました。また、最近では相続税を免れるため遺言書を偽造して社会福祉法人に寄附したように装い逮捕された7人の男たちの事件がありましたが、彼らは非営利団体を悪用してマネーロンダリングを図る方法も考えていたようです。そのため、少なくとも4つの社会福祉法人に接近し、他に学校法人も候補に挙がっていたと伝えられています。

PAGE TOP