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トラブルは現場で起きている!

学校法人の理事長らによる固定資産税逃れの方法とは?

2019/09/17

 江戸時代以前の年貢が明治時代に地租となり、地租が戦後の地方自治の確立とともに固定資産税となったことはよく知られているとおりです。時代劇などで目にする横暴な藩主や悪代官などによる厳しい年貢の取り立てにあえぐ農民の姿は、現代でいえばさしずめ私腹を肥やして止まなかった某都知事などによる固定資産税の督促に頭を悩ましていた住民の姿になぞらえることができるかもしれません。

 固定資産税が非課税になったらどんなにいいかと、誰しも思いますが、それでなんとかして固定資産税を免れようなどとは普通は思いません。固定資産税の非課税は、国や地方公共団体が所有している場合の人的非課税か、宗教法人、学校法人、社会福祉法人等が本来の用に使用している場合の用途非課税のどちらかと決められていて、個人の私有地がこれに当たることはないからです。

 ところが、とんでもないことに個人の私有地を学校用に使っているとして固定資産税を免れていた事件がありました。もう10年以上前になりますが、学校法人大阪初芝学園の理事長らが大阪府の堺市内に所有していた土地を学校の運動場と偽って申告し、固定資産税と都市計画税を免れていたことが2007年11月21日付の新聞報道で明らかになったのです。堺市は、理事長らに対して、時効にかからない2005年までの5年分の追徴課税450万円を課したというのですが、見逃す方も見逃す方で、今なら「ボーっと生きてんじゃねーよ」と誰かさんに叱られそうです。

 大阪初芝学園は、その他にも、校内にある自動販売機の設置業者や修学旅行を扱う旅行会社など十数業者からバックマージンを寄附として受け取り、それらを簿外管理して、理事長名義で自民党の下村博文議員、柳本卓治議員らへの政治献金に充てていました。これに関連して、大阪初芝学園は大阪国税局から税務調査を受け、2007年3月期までの7年間で、法人税など計約5,700万円の申告漏れを指摘されたことが2007年12月21日付の新聞報道で明らかになっています。

 ちなみに、このときの大阪初芝学園の理事長の椋本彦之氏はグルメ杵屋の創業者として知られている人物でした。

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