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トラブルは現場で起きている!

宗教法人は非課税でも、個人の祈祷師は課税!?

2021/08/30

 法人には、といっても会社などではなく宗教法人などの公益法人等の話ですが、収益事業、非収益事業の別はあっても、個人には収益事業、非収益事業はありません。ですから、個人が宗教活動を行って収入を得た場合には、これが対価性のないお布施や喜捨であっても事業所得や雑所得として申告しなければならないことはいうまでもありません。

 ところで、個人の住宅から大きなビルなどの建設工事や橋、トンネル、ダムなどの土木工事を始めるときには、決まって地鎮祭がつきものです。地鎮祭は、その土地の守護神を祀り、土地を利用させてもらうことの許しを得る意味があるとされていますが、これには神式だけでなく、仏式やキリスト教式などもありますので、だいたい工事の無事を祈って行われる儀式というのが一般的な認識でしょう。

 この地鎮祭の準備をするのは施主や施工業者などですが、神事である地鎮祭を中心になって執り行うのは、やはり神式でいえば神職です。神職は、てっきり近隣の神社の神主などがつとめるのだろうと思っていたら、最近は必ずしもそうではないと分かりました。個人でこの神事を請け負って執り行う祈祷師のような人たちがいるというのです。

 2021年8月21日の新聞報道によると、この祈祷師ら約10人が名古屋国税局の税務調査を受け、相次いで報酬の申告漏れを指摘されたことがわかりました。名古屋国税局は、2019年秋ごろ、無予告で愛知県、岐阜県などの祈祷師約10人に税務調査を実施した結果、地鎮祭の祈祷料は1回数万円からが相場とされるものの、慣例として領収書を渡さないことも多く、約10人が受け取った祈祷料を事業所得として確定申告していなかったことが判明しました。

 5年間で約1,500万円の無申告を指摘された60代の祈祷師は、「この世界は仕事が入らないと1円にもならず、いざという時に備えたかった」と語り、また約1,800万円の申告漏れを指摘された別の祈祷師は、「神棚や太鼓にお金がかかり、最初の何年かは赤字だった」と述べています。

 これらの祈祷師の多くは、愛知県内の神社が主宰した講座を受けるなどして祈祷の方法を身に付け、大手ハウスメーカーなどから仕事の紹介を受けて報酬を得ていたということのようです。

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