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トラブルは現場で起きている!

自らの名を冠した大学からの給与10億円が源泉徴収漏れ

2023/10/30

 東京ディズニーランドがある千葉県浦安市。そこには了徳寺大学グループの広大な敷地がありました。UR・都市再生機構が定期借地権で貸し付けていた土地でしたが、2015年に了徳寺大学グループに69億円で売却され、了徳寺大学グループはその半分以上を不動産会社に同日中に売却、残りの土地も1年以内に売却され、数十億円以上の転売益を得ている疑惑があるとして2016年にNHKや朝日新聞、毎日新聞などで報道されて話題になりました。

 その了徳寺大学グループが、2022年5月に、理事長に巨額の給与を支払いながら源泉徴収しなかったとして東京国税局から指摘を受けたことが報道されました。

 そもそも了徳寺大学とはどのような大学なのか、また一代で自らの名を冠した大学を創設した理事長の了徳寺健二氏とはどのような人物なのか、簡単に見ておくことにしましょう。

 了徳寺大学は、2006年に了徳寺健二氏によって設立されています。了徳寺健二氏は、1948年鹿児島県生まれで、高校卒業後、川崎製鉄に入社し、柔道部の選手として活躍したのち、プレーイングマネージャーとして監督を務めていました。監督をやめた後は、遠距離通学で苦労しながら夜学の専門学校に通い柔道整復師の資格を取って独立。その後、接骨院店舗を数多く展開することで成功したとされています。それが並の成功ではなかったことは、その後の展開を見ればわかります。2000年には学校法人了徳寺学園を設立、了徳寺学園医療専門学校、了徳寺学園リハビリテーション専門学校と次々に開校し、2006年には了徳寺大学を開学しています。

 東京国税局の指摘を受けたのは、この了徳寺大学を運営する学校法人と、専門学校を運営する学校法人が、2017年から2018年にかけて、関連法人に送金した10億円でした。これが実質的に大学の理事長を務める了徳寺健二氏の給与に当たるとして、二つの学校法人に対して源泉所得税の徴収漏れを指摘したのです。この10億円は、関連法人への送金後、すぐに同額が了徳寺健二氏側に移されていたそうです。税額は、重加算税を含めて総額約6億円に上るものと報じられています。

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