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トラブルは現場で起きている!

労働組合に横領が多い理由

2024/02/29

 日本の海運業は、今や外国人船員に大きく依存しており、フィリピン人を中心とする外国人船員がいなければ、日本の海運業は成り立たなくなっているといわれています。それを反映して、船員の労働組合である全日本海員組合の組合員も日本人組合員3万人に対して、外国人組合員は5万人を超えています。

 日本では、労働組合は企業別にその企業の従業員を組合員として組織されるのが一般的です。その企業内労働組合が集まって産業別労働組合が編成され、さらにそれらが集合して「連合」となっているわけです。そうした中で、企業別ではなく個人加盟の唯一の産業別組合として、この全日本海員組合は特異な存在となっています。

 2023年6月20日、この全日本海員組合の森田保己前組合長が東京国税局の税務調査を受け、2020年までの6年間で計約6億円の申告漏れを指摘されていたことが明らかになり、関係者の間に大きな衝撃が走りました。組合長の時期に、組合関連の財団法人が管理する外国人船員の研修などの福利厚生に充てる基金から、およそ3億円を私的に流用、貴金属や高級腕時計を購入したことが、東京国税局から実質的な給与とみなされたものとみられます。

 さらに、組合の代表部があるフィリピンで船員向けの宿泊施設などを建設した際、現地の業者からリベートを受け取り、自身の海外口座で隠し持っていたことも税務調査で判明、悪質な所得隠しに当たると判断されたもようです。

 森田前組合長は、1993年に組合の専従職員として採用後、フィリピン代表部代表や副組合長を経て、2014年に組合長に就任しました。業界紙のインタビューに答えて、「これからは脱炭素への対応も考えていかなくてはならない」などともっともらしいことを述べている姿なども見られましたが、その裏でちゃっかり私腹を肥やしていたのです。税務調査が始まった後の2021年11月に「健康上の理由」でひっそり辞任していました。

 税務調査がなければ発覚しなかったのかもしれませんが、2023年11月には、組合員らが業務上横領や脱税などの疑いで東京地検に告発しています。

 労働組合の横領が報じられるたびに感じるのは、組合員から給与天引きで苦もなく集められる労働組合の資金の豊富さと、それに対する組合員たちの無関心です。それが外国人船員たちとなると、まさに横領してくれと言わんばかりの状態だったのではないかとすら思えますが、いかがなものでしょうか。

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