逮捕された七人の男たち
2017/03/29
「七人の侍」といえば、いわずと知れた黒沢映画の代表作ですが、この映画が大ヒットしてからというもの、集団で何かことを起こそうとするドラマには、なにかと七人が登場するようになったといわれています。
「荒野の七人」、「黄金の七人」、「七人の刑事」、「七人の孫」、「男女7人夏物語」、「七人の女弁護士」などなど、枚挙にいとまがありませんが、フィクションの世界にとどまらず、リアルの世界にも七人は登場しました。かつて、株式会社の設立には発起人が七人以上必要でしたし、最近では社会福祉法人の評議員が七人以上必要とされています。
その社会福祉法人を舞台に、相続税を脱税したとして七人が逮捕されたニュースはまだ記憶に新しいところですが、まるでドラマ仕立てのように、このたくらみにもぴったり七人が登場しました。
兄から10億5千万円の遺産を相続した弟が、落語家や税理士、社会福祉法人元理事などの仲間と共謀して8億5千万円を和歌山県にある社会福祉法人に寄附したように見せかけて、相続税約4億9千万円を脱税し、大阪地検特捜部に逮捕されたと報道されたのは平成27年11月のことでした。この事件で逮捕された税理士は、今年の1月11日に大阪地方裁判所で懲役3年、執行猶予4年、罰金800万円の有罪判決を受けています。
ちなみに、相続した財産を相続税の申告期限までに寄附した場合、相続税が非課税になるのは、社会福祉法人だけとは限りません。学校法人や公益法人、更生保護法人や認定NPO法人なども含まれます。もっとも、寄附を受けた財産を、2年以内に公益目的の事業に供していない場合や、その寄附が親族の相続税等の負担を不当に減少する結果となると認められるときは、非課税が取り消されることになっています。
この相続税の非課税制度は、宗教法人や一般社団法人、一般財団法人、一般のNPO法人などは対象になっていませんが、宗教法人などで時々非課税になるものと勘違いしているケースなどがありますので気を付けたいものです。