昨今の中小M&A市場における動向を踏まえた周知・注意喚起について
2024/06/11
中小企業庁とM&A支援機関登録制度事務局はさきごろ、「昨今の中小M&A市場における動向を踏まえた周知・注意喚起について」を公表した。
M&A は後継者不在の中小企業が事業承継を実現するための手法の 1 つとして浸透し、多くの中小企業による M&Aが実施されるようになってきたが、一方で、M&A専門業者(仲介者・FA)による仲介契約・FA 契約の締結に向けた過剰な営業行為や、不適切な買い手による M&A への支援を行っているのではないかとの疑義が生じる事象が散見されている。
そこで、「中小M&Aガイドライン」では、M&A専門業者(仲介者・FA)に対して依頼者の利益のために善管理注意義務や職業倫理に基づいた支援を実施することを求めており、この趣旨を踏まえ、中小企業に対して次のような周知・注意喚起を行っている。
①M&A 専門業者(仲介者・FA)による不適切な広告・営業行為について
M&A 専門業者(仲介者・FA)から、契約締結しない意思が表示されたにも関わらず継続される広告・営業やM&Aの成立の可能性やその条件について虚偽または誤解を生じさせる広告・営業等の不適切な行為が散見されており、このような行為については、M&A 専門業者(仲介者・FA)に対する規律を示す「中小 M&Aガイドライン」の趣旨を潜脱するものであり、M&A 専門業者(仲介者・FA)に対して停止の要請をしている。
M&A の実施の意向がなく、M&A 専門業者(仲介者・FA)からの継続的な広告・営業を希望しない場合は、その旨を M&A 専門業者(仲介者・FA)に伝えることを検討し、その上で、広告・営業が停止されない場合、その他不適切と思われる広告・営業を受けている場合については、「M&A 支援機関登録制度」における「情報提供窓口」への情報提供を検討するように呼びかけている。
②不適切な譲り受け側についての注意喚起
一部報道において、譲り渡し側の経営者保証を引受けることなく、譲り渡し側の現預金等の資産を移行し、譲り渡し側の支払いに問題を生じさせ、倒産に至らせるといった行為を複数回にわたって実施した不適切な譲り受け側の存在が指摘されている。類似の条件で提案を受けている場合、特に経営者保証の引受けを前提に低額の譲渡額での譲り受けを提示されている場合等は注意したい。
このような場合については、M&A 専門業者(仲介者・FA)への相談に加え、士業等専門家や事業承継・引継ぎ支援センター等へのセカンド・オピニオンの実施などを検討し、当該譲り受け側とのマッチングについて慎重に検討すること。そして、上記のような不適切な譲り受け側とのマッチング等に際し、M&A 専門業者(仲介者・FA)の支援に不適切な点を感じた場合には、「M&A 支援機関登録制度」における「情報提供窓口」への情報提供を検討するように呼びかけている。