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相続・事業承継Vital Point of Tax

令和4年分相続税申告事績 課税割合9.6%で過去最高に

2023/12/19

 国税庁がさきごろ公表した令和4年分の相続税の申告状況によると、令和4年分の1年間(令和4年1月~12月)における被相続人数(亡くなった人)は156万9050人で、前年分143万9856人よりも12万9194人増えて過去最高となった。

 相続税の課税対象となった被相続人数は、前年分13万4275人より1万6583人増加の15万858人。課税割合は9.6%(前年分9.3%)となり、いずれも過去最高となった(令和4年分は令和5年10月31日までに提出された申告書に基づき作成している)。

 令和4年分の課税価格の合計は20兆6840億円で、前年分18兆5774億円から2兆1066億円の増加。税額は2兆7989億円で、前年分2兆4421億円から3568億円の増加となった。被相続人1人当たりの課税価額は1億3711万円(同1億3835万円)、税額は1855万円(同1819万円)だった。

 相続財産の金額の構成比を見てみると、「現金・預貯金等」34.9%、「土地」32.3%、「有価証券」16.3%、「家屋」5.1%、「その他」11.4%となっている。

 なお、東京局管内における相続税の課税対象者は4万8358人(前年分4万2881人)、課税割合は15.0%(同14.7%)、税額は1兆2346億円(同1兆886億円)。大阪局管内の課税対象者は2万4401人(同2万1985人)、課税割合は9.7%(同9.6%)、税額は4868億円(同4024億円)。名古屋局管内の課税対象者は2万1670人(同1万9359人)、課税割合は12,2%(同11.9%)、税額は3128億円(同2941億円)となっている。

電話などの『簡易な接触』による申告漏れ非違件数は3685件

 一方、令和4事務年度における相続税の調査状況をみると、実地調査の件数は8196件(前事務年度6317件)、このうち申告漏れなどの非違があった件数は7036件(同5532件)、非違割合は85.8%(同87.6%)だった。

 申告漏れ課税価格は2630億円(同2230億円)で、申告漏れ相続財産の金額の内訳は、「現金・預貯金等」815億円(同705億円)が最も多く、「土地」336億円(同257億円)、「有価証券」309億円(同274億円)と続いている。

 追徴税額(加算税87億円を含む)は669億円(同560億円)。実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格は3209万円(同3530万円)となった。実地調査1件当たりの追徴税額は816万円(同886万円)。なお、重加算税の賦課件数は1043件(同858件)、賦課割合は14.8%(同15.5%)だった。

 国税庁では、相続税の実地調査のほか、簡易な接触(文書や電話による連絡または来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤りなどがある申告を是正するなどの接触)を実施している。令和4事務年度は1万5004件(同1万4730件)に簡易な接触を行い、このうち申告漏れなどの非違および回答などがあったのは3685件(同3638件)。申告漏れ課税価格は686億円(同630億円)、追徴税額(加算税4億円含む)は82億円(同69億円)となり、いずれも簡易な接触の事績を集計し始めた平成28事務年度以降で最高となった。

 令和4事務年度の調査に係る主な取組みとして、無申告事案を把握するために資料情報の収集・活用などの取組みを実施した結果、実地調査件数は705件(同576件)、申告漏れなどの非違件数は607件(同502件)、申告漏れ課税価格は741億円(同572億円)、追徴税額は111億円(同74億円)で、公表を始めた平成21事務年度以降で最高となった。実地調査1件当たりの追徴税額は1570万円(同1293万円)となっている。

 国税当局では、相続税の補完税である贈与についても積極的に資料情報を収集し、財産移転の把握に努めており、令和4事務年度における実地調査件数は2907件(同2383件)。このうち申告漏れなどの非違件数は2732件(同2225件)、申告漏れ課税価格は206億円(同175億円)、追徴税額は79億円(同68億円)。実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格は708万円(同734万円)、追徴税額は270万円(同287万円)だった。

 なお、国税庁では、あらゆる手続きが税務署に行かずにできる社会を目指し、税務行政のデジタル化を掲げてe-Taxの利用拡大に取り組んでいるが、相続税申告については令和5年度のe-Tax利用率の目標値を40%に設定し、利用拡大を促進。その結果、令和4年度における相続税の申告のe-Tax利用件数は6万1000件で、前年度に比べ1万7000件(39.0%)の増加となった。e-Tax利用率は29.5%と、前年度に比べ6.1ポイント上昇した。

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