都道府県別 令和4年分相続税の申告状況をチェック!
2024/05/14
国税庁が公表した令和4年分の相続税の申告状況によると、令和4年の1年間(令和4年1月~12月)における全国の被相続人数( 亡くなった人)は156万9050人で、そのうち相続税の課税対象となった被相続人数は15万858人。前年分の13万4275人より1万6583人増加した。
令和4年分の相続税の課税割合は9.6%で、前年分の9.3%から0.3ポイント増加した(令和4年分は令和5年10月31日までに提出された申告書に基づき作成している)。
相続税の申告状況を都道府県別で見てみる。
課税割合が最も高かったのは東京都の18.7%で、前年分の18.1%から0.6ポイント上昇。次いで、愛知県15.1%(前年分14.9%)、神奈川県14.3%(同14.1%)、埼玉県11.2%(同11.1%)、京都府10.9%(同10.6%)、静岡県10.6%(同10.5%)、奈良県10.3%(10.0%)、千葉県10.3%(同9.8%)、兵庫県10.1%(同9.8%)と続いている。47都道府県のうち、相続税の課税割合が10%を超えたのは、この1都1府7県だった。
課税対象の被相続人数を都道府県別に見ると、課税割合と同様、東京都が2万6008人(同2万3130人)と最も多い。続いて、神奈川県1万4127人( 同1万2674人)、愛知県1万2292人(同1万963人)、大阪府1万89人(同9195人)、埼玉県9234人(同8320人)、千葉県7417人(同6384人)、兵庫県6696人(同6098人)、静岡県5026人(同4544人)となっており、この1都1府6県は、課税対象の被相続人が5千人を超えている。
相続税の基礎控除が引き下げられる前の平成26年分の課税対象者は5万6239人。令和4年分は15万858人と約2.7倍に増えており、国税庁では、申告件数が大幅に増加したことを受けて、実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用している。
具体的には文書や電話による連絡、来署依頼による面接によって申告漏れ、計算誤りなどがある申告を是正するなどの「簡易な接触」を積極的に行っている。
こうした簡易の接触を令和3事務年度は1万4730件(前事務年度1万3634件)に行い、このうち申告漏れなどの非違や回答などがあったのは3638件。申告漏れ課税価格は630億円、追徴税額は69億円となり、いずれも簡易な接触の事績を集計し始めた平成28事務年度以降で最高となった。
高齢化により相続の発生件数が増えているが、それだけ相続人同士の争いも増加傾向にある。最高裁判所の令和元年度・司法統計年報(家事事件編)によると、遺産分割事件の新受件数(審判+調停)は、高齢化の影響などによって近年は高止まり状態にあり、令和3年は1万2981件だった。
相続財産をめぐる争いというと、資産家の問題と思われがちだが、遺産分割事件で争っている金額の割合を見ると、5000万円以下や1000万円以下の遺産をめぐる争いは非常に多い。また、遺産分割事件の当事者の数を見ると、「2人」による争いが最も多く3705件。
こうしたデータからも、遺産の多寡に関係なく、相続人が複数いれば、どんな家庭でも争いが起きることが分かる。特に、相続財産の中には簡単に分けられないものも多いだけに、相続を『争族』にさせない事前対策をしっかり考えておくことが重要といえる。