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「インボイスを交付しない」の案内は不適切 厚労省が事務連絡

2024/05/27

 厚生労働省はさきごろ、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会に対して、宿泊予約サイト等を通じて宿泊予約を受けた場合のインボイスの交付に関する事務連絡を行った。

 昨年 10 月より消費税のインボイス制度が開始されたが、一部の宿泊施設ではホームページ上で「宿泊者が宿泊予約サイトを通じて宿泊予約した場合には、インボイスを交付しておりません」といった案内を掲載しているケースが見受けられた。

 しかし、宿泊者が事業関連で宿泊利用した場合には、宿泊施設が適格請求書発行事業者であれば適格請求書(インボイス)を交付する必要があることから、その対応方法が示されている。

 例えば、宿泊者が宿泊予約サイト等を通じて宿泊代金を事前決済しており、チェックアウト時までに宿泊代金の支払を受けていないため、インボイスの記載事項を満たした「領収書」の交付を行っていない場合(手配旅行に該当する場合)。

 この対応方法として、インボイスは、課税事業者から求めがあれば交付する必要があり、宿泊代金を受領した書類としての「領収書」の交付を行っていないことに起因して、事業者のホームページで「インボイスを交付しない」と案内することは、宿泊者の誤解を招き、適切ではない。インボイスはその記載事項を満たす限り、様式や名称を問わないため、宿泊客からインボイスの交付を求められた場合、例えば、「宿泊明細」などの「領収書」以外の書類により、インボイスを交付することが考えられるとしている。

 宿泊予約サイト等が宿泊客から予約手数料を徴収している場合や独自に値引きを行っている場合(宿泊客が宿泊予約サイト等に支払った金額を宿泊施設側で把握していない場合)であっても、インボイスに記載すべき「税率ごとに区分して合計した対価の額」は、宿泊施設が課税売上げとして認識している金額となる。

 また、宿泊予約サイト等と宿泊施設の間でサイト掲載手数料等が差し引かれて精算される場合であっても、インボイスに記載すべき「税率ごとに区分して合計した対価の額」は当該手数料等差引前の金額となるとしている。

 次に、宿泊サービスを含めた一連の旅行サービスを宿泊予約サイト等が宿泊客に提供している場合(企画旅行に該当する場合)。

 その対応方法として、企画旅行としてサービスを提供する宿泊予約サイトを運営する事業者等が宿泊客に対してインボイスを交付する必要があるため、会員事業者において、仮に宿泊者からインボイスの交付を求められた場合には、➀宿泊施設として宿泊者にインボイスを交付できないこと、➁インボイスの交付に関しては、宿泊予約サイトを運営する事業者等に問い合わせを行うことを説明できるよう準備(従業員への周知等)をしておくことが重要としている。

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