会計検査院 税の徴収不足2億3785万円、過大300万円を指摘
2023/11/17
会計検査院はこのほど、令和4年度決算検査報告を公表した。それによると、省庁などの税金の無駄遣いや改善を求める指摘件数は344件で、前年度310件から34件の増加。指摘金額は580億2214万円で、前年度の約455億円から約125億円の増加となった。そのうち、法律や政令などに違反した悪質な「不当事項」は285件、97億6375万円だった。
財務省への検査では、55税務署において、納税者84人から租税を徴収するに当たり、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤っているのに、これを見過ごしたり、課税資料の収集および活用が的確でなかったりしたため、徴収額の不足が計2億3785万円(85事項)、過大が300万円(1事項)だったことを報告。これらの徴収不足額および過大額はすべて徴収決定や支払決定の処置が執られている。
法人税について徴収不足または徴収課題になっていた46事項の内訳は、法人税額の特別控除に関する事態が26事項、交際費などの損金不算入に関する事態が7事項、その他に関する事態が13事項あった。
<事例> 給与等の引上げを行った場合等の法人税額の特別控除額の算定を誤ったため、法人税額から控除する金額が過大となっていた事態
A会社は、平成31年4月から令和2年3月までの事業年度分の申告に当たり、当該事業年度の国内雇用者に対する給与等の支給額(雇用者給与等支給額)388億542万円が前事業年度の国内雇用者に対する給与等の支給額(比較雇用者給与等支給額)363億7868万円を上回るなどとして、雇用者給与等支給増加額24億2674万円の15%相当額3億6401万円を法人税額から控除していた。
しかし、A会社の前事業年度分の申告書に添付された明細書等によれば、雇用者給与等支給額から控除すべき適正な比較雇用者給与等支給額は364億8473万円であった。したがって、適正な雇用者給与等支給増加額は23億2069万円と算出され、法人税額の特別控除額はその15%相当額の3億4810万円となり、1590万円過大となっているのに、これを見過ごしたため、法人税額が1590万円徴収不足になっていた。