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外部の弁護士を日本法人の代表者に選任 恒久的施設(PE)の判定で文書回答  

2023/03/24

 東京国税局はこのほど、「アイルランド共和国に本店を有する法人が我が国会社法の規定に基づき日本における代表者の選任および外国会社の登記をし、その代表者が日本において一定の行為をした場合の恒久的施設の有無の判定」に関する文書回答を国税庁のホームページで公表した。

 照会者は、アイルランド共和国の法律に基づいて設立された法人であり、法人税法第2条《定義》第4号に規定する外国法人に該当する。また、同社は、「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアイルランドとの間の条約」(以下、日愛租税条約)第4条第1項に規定する居住者に該当し、同条約の適用を受ける法人となる。

 同社は、オンラインマーケットプレイスを運営する事業(以下、本件事業)を行っているところ、同社が行う日本のユーザー向けの本件事業は、電気通信事業法に規定する電気通信事業に該当する可能性が高いことから同法第16条《電気通信事業の届出》第1項に基づく届出をしている。

 同社は日本において電気通信事業として届け出た本件事業を継続して行っていることから、会社法第817条《外国会社の日本における代表者》第1項に規定する「日本において取引を継続してしようとするとき」に該当し得るとして、法務省から、同項の規定に基づき日本における代表者を定めるとともに、同法第933条《外国会社の登記》第1項の規定に基づき登記の申請をすることを検討するよう要請を受けた。

 このため、同社は、外部の弁護士(以下、本件弁護士)との間で役務提供契約(以下、本件契約)を締結し、本件弁護士を日本における代表者として定め、外国会社の登記(以下、本件登記)をした。

 本件弁護士は、本件契約において本件事業に従事または関与せず、本件送達等行為を行う権限のみを有することとされ、実際にも本件弁護士は本件契約に基づき本件送達等行為のみを行い、それ以外の行為を行わないとすれば、同社は、日本において日愛租税条約第6条第1項まは第5項に規定する恒久的施設を有することとはならないと考えられる。

 そこで、照会者は、同社が本件弁護士を日本における代表者として定め、本件登記をし、本件弁護士が当社に対して本件契約に基づく役務提供をしたとしても、同社は、日本において日愛租税条約上の恒久的施設を有することとはならないと解して差し支えないかなどと照会した。

 これに対して東京国税局は、「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」などと回答している。

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