平成29年分国外財産調書 提出9551件、総財産額は3兆6662億円
2019/01/30
国税庁はこのほど、平成29年分(平成29年12月31日分、提出期限は平成30年3月15日)の国外財産調書の提出状況を公表した。国外財産調書の提出制度は、平成26年1月(平成25年12月31日分)から施行され、今回で5年目の集計となる。
平成29年分の国外財産調書の提出件数(平成30年6月末までに提出されたもの)は9551件。前年分の9102件より449件の増加となった。国税局別の提出件数は、東京局6154件(64.4%)、大阪局1331件(13.9%)、名古屋局699件(7.3%)、その他1367件(14.3%)となっている。
総財産額は3兆6662億円で、前年分3兆3015億円より3647億円の増加となった。国税局別に見ると、東京局2兆7485億円(75.0%)、大阪局4274億円(11.7%)、名古屋局1906億円(5.2%)、その他2996億円(8.2%)。
財産を種類別に見ると、「有価証券」が最も多く1兆9252億円(52.5%)。次いで、「預貯金」6204億円(16.9%)、「建物」4038億円(11.0%)、「貸付金」1705億円(4.7%)、「土地」1449億円(4.0%)、「上記以外の財産」4014億円(10.9%)となっている。
なお、国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載して提出するため、適正な提出を確保するために次のようなインセンティブ措置等が設けられている。
① 加算税の軽減措置・・・提出された調書に記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を軽減(▲5%)
② 加算税の加重措置・・・調書の提出がない場合又は提出された調書に記載のない国外財産に係る所得税の申告漏れが生じたときには、加算税を加重(+5%)
③ 罰則の適用・・・正当な理由なく期限内に提出がない場合又は虚偽記載の場合に、1年以下の懲役または50 万円以下の罰金
なお、国外財産調書の提出者および提出を要すると見込まれる者に対する平成29事務年度(平成29年7月~平成30年6月)における所得税および相続税の実地調査の結果、①の軽減措置を適用したのは168件、増差所得等金額は45億7467万円。②の加重措置を適用した件数は194件、増差所得等金額は51億1095万円だった。