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どうなる!? 未婚のひとり親世帯への寡婦控除

2018/05/18

 平成30年税制改正大綱に盛り込まれた検討事項の中でも、平成31年度税制改正において「検討し、結論を得る」とされた項目が注目されている。

 そのひとつが、「婚外子家庭に対する税制上の措置」。現行の寡婦控除は、夫と死別や離婚した後に婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族または生計を一にする子がいる場合、一定の所得控除が受けられる。ひとり親の夫を対象とした寡夫控除もある。

 寡婦(夫)控除は、ひとり親世帯の所得税を軽くするものだが、控除対象となる夫や妻とは民法上の婚姻を指している。つまり、婚姻歴のない未婚のひとり親世帯には、同制度は適用されないわけだ。

 厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によれば、母子世帯になった理由は、離婚79.5%、未婚の母8.7%、死別8.0%となっており、未婚が死別を上回っている。しかも、未婚の母の年齢層は相対的に低く、子どもの貧困は深刻な問題だ。 こうした状況を受けて、横浜市など地方自治体の中には、婚姻歴のないひとり親世帯に対し、独自に寡婦(夫)控除の「みなし適用」として保育料などを割引くところも増えてきたが、やはり国として、所得税の寡婦(夫)控除の適用を認めるべきとの要望が各方面から上がっていた。

 この問題については以前から検討事項に盛り込まれていたが、平成30年度税制改正大綱では、「子どもの貧困に対応するため、婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する税制上の対応について、児童扶養手当の支給に当たって事実婚状態でないことを確認する制度等も参考にしつつ、平氏31年度税制改正において検討し、結論を得る」という期限が示された。未婚のひとり親世帯も寡婦(夫)控除の対象となるのか、今後の行方が気になるところだ。

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