インボイス導入後、「免税事業者と取引しない」は約1割 「検討中」も半数近く
2022/08/24
東京商工リサーチは8月1日~9日に「インボイス制度」についての企業向けアンケート調査を実施した。
2023年10月からインボイス制度(適格請求書保存方式)が始まるが、消費税の仕入税額が控除される同制度について「知らない」と回答した企業は7.5%(6441社中、483社)にとどまり、「よく知っている」は19.5%(1257社)、「大体知っている」は49.0%(3158社)、「少し知っている」は23.9%(1543社)となり、これらを合わせた「知っている」は92.5%に達した。
規模別では、「知らない」は大企業が6.2%(988社中、62社)、中小企業が7.7%(5453社中、421社)で、規模を問わずインボイス制度の認識は広がっていることが分かる。
一方、インボイス導入後の免税事業者との取引については、「これまで通り」が41.2%(5292社中2,181社)と4割超を占めた。しかし、「免税事業者とは取引しない」は9.8%(523社)、「取引価格を引き下げる」は2.1%(115社)と、1割強(11.9%)が取引中止や取引価格の引き下げ意向を示している。
また、「検討中」は46.7%(2473社)としており、東京商工リサーチでは「まだ半数近くは取引方針を迷い、免税事業者への悪影響が広がる可能性もある」と分析している。
規模別では、「免税事業者とは取引しない」は、大企業が6.4%(765社中、49社)、中小企業が10.4%(4527社中、474社)で、中小企業が大企業を4ポイント上回った。また、「取引価格を引き下げる」は大企業が1.4%(11社)、中小企業が2.3%(104社)となった。
なお、「これまで通り」は大企業が38.3%(293社)、中小企業が41.7%(1888社)で中小企業が高かった。「検討中」は大企業が53.8%(412社)、中小企業が45.5%(2061社)だった。
東京商工リサーチでは、「国は免税事業者との取引に配慮し、制度開始から6年間は仕入税額の一部控除が可能とした。また免税事業者との取引を、インボイス制度実施を契機に取引条件を見直すと、優越的地位の乱用として問題にもなりかねないと警鐘を鳴らしている。ただし企業は、基本的に取引先の選択を自由にでき、税負担が増す免税事業者との取引縮小の動きが加速する可能性は高い。長引くコロナ禍で、小・零細事業者は経営不振が続くだけに、インボイス制度の導入で混乱が起きないように、事前の支援やフォローが重要になっている」と指摘している。
インボイス制度についての企業向けアンケート調査結果はこちら。