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カツラに金地金を隠して密輸 平成30事務年度の関税等脱税事件

2019/11/14

 財務省はこのほど、平成30事務年度(平成30年7月~令和元年6月)に全国の税関が行った輸入品に対する関税および内国消費税に係る犯則事件の調査結果を公表した。

 それによると、犯則調査の結果、平成30事務年度に通告処分を行ったのは524件、告発が12件で、合計536件(対事務年度比56%)となった。脱税額は総額で約10億6千万円(同61%)。処分した事件のうち、金地金の密輸事件が404件(同56%)で、その脱税額は総額で約9億6千万円(同64%)。処分件数・脱税額ともに過去最高だった前事務年度より減少したが、処分件数は史上3番目、脱税額は史上2番目の結果となり、両者とも依然として高い水準にある。

 密輸形態別の処分件数では、航空機旅客による密輸が96%(386 件)で、商業貨物を利用した密輸が3%(14 件)。空機旅客による金の隠匿手口としては、体に巻き付けるなどして隠匿しているものが約半数を占めた。また、着用したかつらに隠匿したもの、ポケット付き半袖シャツに収納してシリコンマットを被せて隠匿したもの、手荷物運搬用のカートの車輪に工作隠匿したものなど、巧妙な隠匿手口も見受けられた。

 そのほか、消費税等脱税事件の事例も紹介されている。

<事例1>
 犯則者Aらは、香港から航空貨物により、自動車用サスペンション内に隠匿した金地金合計220kg(未遂分)を税関長の許可を受けることなく輸入しようとし、消費税及び地方消費税約8200万円を不正に免れようとした。その後の犯則調査により、犯則者Aらは、過去、同様の手口で金地金合計609kg(既遂分)を税関長の許可を受けることなく輸入し、消費税および地方消費税約2億2千万円を不正に免れていたことが認められた。

<事例2>
 犯則者Bらは、マレーシアから入国する際に、金地金4kg(未遂分)を身辺に隠匿し、税関長の許可を受けることなく輸入しようとし、消費税および地方消費税約150万円を不正に免れようとした。その後の犯則調査により、犯則者Bらは過去にマレーシア、シンガポール、台湾から入国する際、同様の手口で金地金合計62kg(既遂分)を税関長の許可を受けることなく輸入し、消費税および地方消費税約2200万円を不正に免れていたことが認められた。

<事例3>
 犯則者CおよびCを代表取締役とする犯則会社Dは、同社従業員が英国等から入国する際に、同従業員の携帯品に金貨等(アンティークコイン)を隠匿させ、合計36点(既遂分)を税関長の許可を受けることなく輸入して、消費税および地方消費税約4600万円を不正に免れていた。

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