ニトリ、モンベルなどが「企業版ふるさと納税」 内閣府が102事業を決定
2016/08/08
内閣府は8月2日、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の対象事業(平成28年度第1回)を決定した。
企業版ふるさと納税とは、企業が自治体に寄付をすると税負担が軽減される制度。自治体の実施する「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に企業が寄付をすると、寄付額の約3割が税額控除される仕組みだ。地方創生、人口減少克服といった国家的課題に対応するため、地方公共団体が行う一定の地方創生事業に対して企業が寄附を行うことにより、地域創生を活性化する狙いがあり、平成28年度に開始された。
これまでも、企業の自治体への寄付は損金算入という形で、寄付額の約3割に相当する額の税負担が軽減されていたが、企業版ふるさと納税の登場によって、新たに寄付額の3割が控除され、あわせて税負担の軽減効果が2倍の約6割となったのがポイント。例えば、企業が1000万円の寄付をすると実質負担額は約400万円で済む。
自社の本社が所在する自治体への寄付や、財政力の高い自治体(地方交付税の不交付自治体など)への寄付は本制度の対象外といった条件もあるが、寄付額の下限は10万円からとなっており、企業にとっても利用しやすく、これにより積極的に社会貢献(CSR)活動に取り組むことが可能となった。
対象となる事業分野は、「しごと創生」(地域産業振興、観光振興など)、「地方への人の流れ」(移住・定住の促進など)、「働き方改革」(少子化対策、働き方改革など)、「まちづくり」(コンパクトシティなど)の4つ。今回認定された対象事業は102事業で、全体事業費は323億円(このうち47億円は平成28年度事業費の見込み)。このうち74事業が「しごと創生」の分野だった。
特徴的な事業例としては、㈱ニトリホールディングスが、北海道夕張市に4年で5億円のふるさと納税の寄附を予定しており、市の人口減少に対応するため、コンパクトシティの推進加速化と地域資源エネルギー調査の事業に活用される。そのほか、北海道東川町の「冬季観光誘客による地方創生推進プロジェクト」を応援するため、㈱モンベルは、アルペンスノーボード国際大会の開催事業に寄付を予定している。