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中企庁 法人版事業承継税制(特例措置)の活用事例を紹介

2024/05/29

 中小企業庁はこのほど、法人版事業承継税制(特例措置)の活用事例を同庁ホームページに公表した。

 法人版事業承継税制は、一定の要件のもと、非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税を猶予する制度。10年間限定(2027年末まで)の時限的な措置として、猶予対象株式数の上限を撤廃するとともに、猶予割合が贈与税・相続税ともに100%となっている。法人版(特例措置)を活用するためには、2026年3月末までに特例承継計画の申請が必要となる。

 食品製造販売業(関東甲信越)の活用事例を見ると、明治創業の老舗漬物店で、先代の高齢に伴い、事業承継税制を活用して事業承継を行った。

 事業承継税制を活用したことで、承継後、株式の評価額の上昇を気にすることなく事業の拡大に取り組むことができている。具体的には、ECサイトでの海外への販売や、漬物を活かしたお菓子の販売等の新規事業を実施し、ECサイトでの販売は、売上の6割を占めるほどに成長。

 今後は、漬物を活かしたお菓子を楽しむことができるカフェの運営等の新規事業進出も検討している。

 この事業者は、事業承継税制について次の利点を挙げている。

・事前に承継の準備ができたことで、スムーズに株式の承継を行うことができた。
・承継時に税負担なく自社株式を引き継げたので、その分の資金を成長投資に回すことができた。
・承継時に税額猶予の対象となる株式価額が固定されたことで、税負担の増加を気にせず、事業の拡大を実施できている。

 また、製造業(北陸)の活用事例では、設計から塗装や組立までの全工程を社内で一貫生産する専門メーカーを取り上げている。

 これまで主力商品は、職人の知見に依存して製造しており、人材育成に時間がかかるなどの課題があったが、CADベンダーと連携し、工程ごとに必要な作業を標準化・可視化できるデジタル化ツールを開発。進捗、材料の正確な管理が可能になるとともに、職人の経験、技術に依拠せずに作業を行うことができるようになり、生産性の向上に寄与。

 現社長が事業承継後、デジタル化ツールをさらに活用することにより、日本のメーカーが進出しておらず、現地技術者も少なかったアジア地域への事業展開を実現させた。

 この事業者の声として次の内容が紹介されている。

・特例措置創設前から少しずつ株式と事業の承継を進めていたが、特例措置の活用をきっかけに残りの株式を全て承継できた。
・事業承継税制は、承継時の株価で固定できるため、事業の拡大が見込まれる場合に、メリットがあると思う。今後も更なる事業の発展に取り組みたい。

法人版事業承継税制(特例措置)活用事例はこちら

 

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