中企庁 経営者や士業専門家に向けた「事業承継ガイドライン」を策定
2016/12/09
中小企業経営者の高齢化が進み、今後5年から10年の間に、多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎えようとしているが、中小企業に蓄積されたノウハウや技術といった価値を次世代に受け継ぎ、世代交代によるさらなる活性化を実現していくため、円滑な事業承継は極めて重要な課題となっている。
そこで、中小企業庁はこのほど、平成18年に事業承継協議会から発表された「事業承継ガイドライン」を10年振りに見直し、円滑な事業承継の促進を通じた中小企業の事業活性化を図るため、事業承継に向けた早期・計画的な準備の重要性や課題への対応策、事業承継支援体制の強化の方向性などを取りまとめた新しい「事業承継ガイドライン」を策定・公表した。
ガイドラインでは、①事業承継に向けた早期取組の重要性(事業承継診断の実施)、②事業承継に向けて踏むべき5つのステップ、③地域における事業承継支援体制の強化の必要性の3点を中心として、中小企業・小規模事業者における円滑な事業承継のために必要な取組み、活用すべきツール、注意すべきポイントなどを紹介している。
このガイドラインは、経営者に事業承継の課題を知ってもらうことを目的としたものだが、中小企業・小規模事業者の支援機関や士業専門家などの日々の業務の中で、事業承継支援のスタンダードとして活用してもらうことを想定し、かなり実務的で詳細な内容が盛り込まれている。
特に、第三章の「事業承継の類型ごとの課題と対応策」では、人(経営)の承継や財産の承継(税負担への対応、株式・事業用資産の分散防止)などを紹介。第四章の「事業承継の円滑化に資する手法」では、種類株式の活用、信託の活用、生命保険の活用、持株会社の設立などが取り上げられている。
なお、ガイドラインでは、支援機関同士の連携として「事業承継支援を行うにあたって、中小企業に顧問の税理士、弁護士、公認会計士等がいる場合、これらの専門家は専門的な知識を持つだけでなく、中小企業の経営実態や沿革、社内・親族間の人間関係等にも精通しているため、事業承継に向けた準備を実効的・効率的に進めるにあたって貴重な存在となり得る。従って、顧問専門家等と協力し、その支援を得ながら支援を提供することは、円滑な事業承継を実現する上で有益なプロセスである」としている。
「事業承継ガイドライン」はこちら。