中小企業再生支援業務 5段階評価でD・Eランクが全国9協議会
2016/12/01
独立行政法人中小企業基盤整備機構では、産業競争力強化法の規定により、経済産業大臣の認定を受けた全国47の認定支援機関(各都道府県に設置された中小企業再生支援協議会)が実施した中小企業再生支援業務を評価し、その結果を経済産業大臣に報告することになっているが、このほど、平成27年度の事業評価報告書がまとまり、その内容が公表された。
平成27年度では、支援の「質」の強化を重点課題とし、323件の抜本再生支援を目標に取り組んできたが、結果としては、DDS(デッド・デッド・スワップ)を含めた抜本再生支援件数は201件。目標の達成率62%で、内訳としてはDDSが123件、債権放棄等が78件となった。
計画比未達となった原因として、「DDSについては、信金を中心に積極的に研修等を行った結果、徐々に裾野が広がってきているが、未だに経営方針(抜本再生支援アレルギー)や引当金問題がネックとなり、進まない金融機関が存在する」などを挙げている。
なお、平成27年度の支援完了件数については、各協議会の自主目標としてスタートし、自主目標の積上げ1655件に対し、支援完了件数の総数は1319件(自主目標達成率80%)。この結果、平成15年度の協議会事業発足以降の累計支援完了件数は1万1051件と1万件を突破。雇用維持累計も48万6005人となった。
報告書では、全国の協議会の支援業務について、次のA~Eの5段階で評価されている。
A:全体として十分な成果を上げており、総合的に高い水準にある
北海道、青森、埼玉、千葉、長野、滋賀、大阪、岡山
B:全体として概ね成果を上げており、総合的に良好な水準にある
山形、福島、栃木、群馬、静岡、愛知、岐阜、三重、兵庫、広島、香川、佐賀、長崎、宮崎
C:普通に出来ており、総合的に概ね問題ない水準にある
秋田、茨城、東京、神奈川、新潟、富山、石川、京都、和歌山、鳥取、島根、山口、高知、福岡、熊本、沖縄
D:不十分な項目も見られ、総合的に期待水準をやや下回っている
岩手、宮城、福井、奈良、愛媛、徳島、大分、鹿児島
E:大きな問題が見られ、抜本的な改善策が必要
山梨
報告書では、高評価・低評価につながる特徴的な傾向、相反することになる共通項として、「最大のポイントは、『金融機関との関係の良し悪し』ひいては『地域の中小企業支援ネットワークが確立しているか否か』に集約される。高評価の協議会は、地元地銀はじめ各金融機関との信頼関係が構築され、業務上の連携が有効に機能しているのに対し、低評価の協議会は、総じて金融機関との信頼関係の構築や連携がうまくいっていない傾向が強い。また、低評価から高評価に転じた協議会を見ると、地道な金融機関との関係強化活動、協議会内部における再生ノウハウの醸成等がようやく実を結んだ結果といった例が見られる」などとしている。