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令和6事務年度 法人税等調査 AI・データ分析と調査官の知見を融合 精度の高い調査で追徴税額3407億円

2026/02/20

 国税庁がさきごろ公表した令和6事務年度法人税等の調査事績の概要によると、法人税・消費税の実地調査の件数は5万4千件(前年度比7.4減)で、申告漏れ所得金額の総額は8198億円(同15.8%減)だった。

 実地調査の件数は減少したものの、一方で注目したいのが追徴税額の増加だ。国税庁では、AI・データ分析を活用した予測モデルにより調査必要度の高い法人を抽出し、同モデルが判定した不正パターンに加え、申告書や国税組織が保有する様々な資料情報等を併せて分析・検討した後、調査官が調査実施の要否を最終的に判断している。

 こうしたAI・データ分析と調査官の知見を組み合わせた効率的かつ精度の高い調査を実施した結果、令和6事務年度の追徴税額(法人税・消費税)の総額は前年度から210億円増加の3407億円となり、直近10年で最高値となった。調査1件当たりの追徴税額は634万2千円(同15.4%増)で、こちらも直近10年間で2番目の高水準だ。

 具体的な事例として、AI・データ分析の結果を踏まえ、調査官が対象法人の原価を中心に決算書を分析したところ、不審な原価(外注費)が年々増加していることが判明した。外注費を重点的に検討した結果、取引実態のない外注費を把握。約3億6千万円の追徴税額(法人税・消費税)を課した事例が報告されている。

 このほかにも、「売上伝票を破棄することにより、破棄した分の現金売上げを除外」(追徴税額(法人税・消費税):約7千万円)、「不正加担者に単価を水増しした請求書を発行させ、原価(外注費)を過大に計上」(同:約9千万円)、「偽りの出勤表等を作成し、架空の経費(人件費)を計上」(同:約1億5千万円)などの事例が報告されている。

 また、国税庁では無申告法人に対しても、あらゆる機会を通じて資料情報の収集などを行っている。事例によると、税務署が多数の無申告法人に対して事業の稼働状況を照会する行政指導(書面照会)を実施。再三の照会を無視した無申告法人に対して情報収集・分析を行い、店舗を確認したところ、客の出入りを多数確認したほか、SNSが頻繁に更新されているなど、稼働の実態を把握。実地調査に移行し、銀行調査により多額の入出金が確認され、調査法人が多額の利益を意図的に隠ぺいしていたことが判明した。追徴税額(法人税・消費税)は約6千万円だった。

 一方、令和6事務年度における源泉所得税の実地調査の件数は6万4千件(同6.7%減)で、そのうち非違があった件数は2万1千件(同5.1%減)だった。実地調査による追徴税額の総額は404億円(同7.8%増)で、調査1件当たりの追徴税額は63万3千円(同15.6%増)。追徴税額の総額は直近10年で2番目の高水準、調査1件当たりの追徴税額は直近10年で最高値となった。

 なお、国税庁では申告内容に誤りなどが想定される法人等に対して、申告内容の自発的な見直しなどを要請する「簡易な接触」を実施しているが、令和6事務年度における法人税・消費税の簡易な接触の件数は8万5千件(同13.4%増)。その結果、申告漏れ所得金額の総額は565億円、追徴税額の総額は265億円だった。源泉所得税の簡易な接触の件数は11万9千件(同11.7%減)で、追徴税額の総額は82億円(同6.8%減)だった。

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