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令和6年度査察の概要 98件を告発 脱税総額82億円

2025/08/04

 国税庁はこのほど、令和6年度における「査察の概要」を公表した。

 それによると、査察の処理件数は150件で、そのうち98件を告発した。脱税額の総額は112億7千万円、告発した査察事案に係る
脱税総額は82億3千万円だった。1件当たりの脱税額は総額分で7500万円、告発分は8400万円。告発率は65 . 3 % と前年度の66.9%より1.6ポイント減少したが、引続き高水準となった。

 令和6年度の重点事案と位置付けた消費税事案の告発件数は29件。そのうち、国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い「消費税不正受還付事案」については17件を告発。その不正受還付額は3億400万円となり、前年度の4億5400万円から1億5000万円減少した。

 たとえば、不動産賃貸業を営むグループ法人7社において、居住用賃貸建物の取得に係る仕入税額控除を過大に計上するため、架空の金地金取引により課税売上割合を偽装することで、不正に消費税の還付を受け、または受けようとした事例がある。

 そのほかの重点事案として「無申告事案」は13件を告発。そのうち、不正行為はないものの、故意に申告書を提出しないで税を免れた単純無申告ほ脱事案は8件だった。

 「国際事案」では2 0件を告発。海外法人が運営する医薬品等のインターネット販売事業に係るコンサルティング報酬について、売上げから除外し、海外預金口座で留保することにより、所得税を免れていた事例がある。

 当局では、時流に即した事案などの社会的波及効果が高いと見込まれる事案に対しても積極的に取り組んでおり、以下のようなケースが報告されている。

・税理士である脱税請負人が、自ら架空外注費の計上先となる不正加担先を用意した上、自身の顧客に脱税を指南し、多額の法人税および消費税を免れさせていた。

 令和6年度中に一審判決が言い渡された件数は99件で、そのすべてが有罪判決となっており、そのうち13人に実刑判決が出された。実刑判決のうち最も重いものは、査察事件単独に係るものが懲役2年6か月、ほかの犯罪と併合されたもので懲役9年だった

 たとえば、実際には輸出業務を行っていないにもかかわらず、輸出免税制度を悪用し、架空の輸出免税売上げ及び架空の課税仕入れを計上することで、不正に消費税の還付を受けた者に懲役2年6か月の実刑判決が出された。

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