日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

税務ニュースTaxation Business News

企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合の税務上の取扱い

2021/06/15

 国税庁はこのほど、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」に「企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合の取扱い」を追加したので確認しておきたい。

 新たに追加された質問は次のとおり。

 当社では、新型コロナウイルス感染症に関する感染予防対策として、従業員が負担した次のような費用を従業員に支給する予定ですが、このような費用の支給については、従業員 に対する給与として課税対象となりますか。また、このような費用の支給は法人税の損金の額に算入できますか。

 ① マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費
 ② 従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費
 ③ 感染が疑われる場合のホテル等の利用料・ホテル等までの交通費など
 ④ PCR検査費用、室内消毒の外部への委託費用など

 これらの費用の支給に係る従業員の所得税の課税関係については、それぞれの費用の事実関係によって次のとおりになる。

①マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費
 業務のために通常必要な費用(例えば、勤務時に使用する通常必要なマスク等の消耗品費) について、その費用を精算する方法(従業員からその費用に係る領 収証等の提出を受けて、その費用を精算する方法(以下同じ))により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税されない(企業がマスク等を直接配付する場合も同様)。

 ただし、業務のために通常必要な費用以外の費用(例えば、勤務とは関係なく使用するマスク等の消耗品費)について支給するものや、従業員の家族など従業員以外の者を対象に支給するもの、予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、企業が従業員に対して毎月 5,000 円を渡切りで支給するもの(以下同じ))は、従業員に対する給与として課税対象となる。

②従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費
 業務のために通常必要な費用(例えば、テレワークを行うための環境整備費用など)について、その費用を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税されない(備品の所有権を従業員が有するものは除く)。また、企業が所有する備品を専ら業務に使用する目的で従業員に貸与する場合には、従業員に対する給与として課税されない。

 ただし、業務のために通常必要な費用以外の費用について支給するもの(例えば、勤務とは関係なく使用する電化製品など)や、予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないもの、備品の所有権を従業員が有するもの(貸与ではなく支給するもの)は、従業員に対する給与として課税対象となる。

③ 感染が疑われる場合のホテル等の利用料・ホテル等までの交通費など
 業務のために通常必要な費用(例えば、職場 以外の場所で勤務することを企業が認めている場合のその勤務に係る 通常必要な利用料、交通費など)について、その費用を精算する方法または企業の旅費規程等に基づいて、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税されない(企業がホテル等に利用料等を直接支払う場合も同様)。

 ただし、業務のために通常必要な費用以外の費用について支給するもの(例えば、従業員が自己の判断によりホテル等に宿泊した場合の利用料など)や、予め支給した金銭について 業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないものは、従業員に対する給与として課税対象となる。

④ PCR検査費用、室内消毒の外部への委託費用など
 業務のために通常必要な費用(例えば、企業の業務命令により受けた PCR 検査費用や、テレワークに関連して業務スペースを消毒する必要がある場合の費用など)について、その費用を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税されない(企業が検査機関や委託先等に費用を直接支払う場合も同様)。

 ただし、業務のために通常必要な費用以外の費用(例えば、従業員が自己の判断により受けた PCR 検査費用や、従業員が自己の判断により支出した消毒費用など)や、予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないものは、従業員に対する給与として課税対象となる。

 なお、質問の費用の支給に係る企業の法人税の課税関係については、原則として、消耗品費、旅費交通費などや給与として損金の額に算入される。

PAGE TOP