会計検査院 税の徴収不足3億3600万円を指摘
2024/11/18
会計検査院はこのほど、令和5年度決算検査報告を公表した。それによると、省庁など総額は税金の無駄遣いや改善を求める指摘件数は345件、指摘金額は648億6218万円。そのうち、法律や政令などに違反した悪質な「不当事項」は294件、77億3686万円だった。
財務省への検査では、沖縄地区税関および65税務署において、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤っているのに、これを見過ごし、法令等の適用の検討が十分でなく、または課税資料の収集および活用が的確でなかったため、納税者133人から租税を徴収するに当たり、徴収額が137事項3億3602万184円(平成29年度から令和5年度まで)不足しており、不当と認められると報告。なお、これらの徴収不足額については、会計検査院の指摘により、すべて徴収決定の措置が執られている。
法人税について徴収不足になっていた52事項の内訳は、法人税額の特別控除に関する事態が37事項、交際費などの損金不算入に関する事態が6事項、その他に関する事態が9事項あった。
<事例> 給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除の規定の適用を誤っていた事態
B会社は、令和3年11月から4年10月までの事業年度分の申告に当たり、雇用者給与等支給額3億7226万6362円が比較雇用者給与等支給額3億5334万5684円を上回るなどとして、雇用者給与等支給増加額1892万678円の100分の15相当額283万8101円を法人税額から控除していた。
しかし、B会社の当該事業年度分及び前事業年度分の申告書に添付された人件費の内訳書等によれば、正しい雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等支給額は、それぞれ3億6683万9640円および3億7226万6362円だった。したがって、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額の金額を上回っていないことから法人税額の特別控除の規定の適用はできず、誤って法人税額の特別控除を適用しているのに、これを見過ごしたため、法人税額283万8100円が徴収不足になっていた。
一方、相続税に関して徴収不足になっていた事態は25事項あった。この内訳は、相続税額の加算に関する事態が13事項、法定相続分に関する事態が9事項、その他に関する事態が3事項だった。
<事例> 法定相続分の計算を誤っていた事態
納税者Dは、令和元年10月相続分の申告に当たり、法定相続人が納税者D等3人いることから、法定相続分をそれぞれ3分の1とし、相続税の総額を6137万6100円、納税者Dの相続税額を5079万6100円としていた。そして、法定相続人3人はいずれも代襲相続人である甥姪であった。
しかし、申告書等によれば、納税者Dの親は被相続人と父母の双方を同じくするものであり、他の2人の甥姪の親は被相続人と父のみを同じくするものであった。このため、納税者Dの親が受けるべきであった法定相続分は3分の2、当該2人の甥姪の親が受けるべきであった法定相続分は3分の1となり、納税者Dの法定相続分は3分の2、当該2人の甥姪の法定相続分はそれぞれ6分の1となる。したがって、これにより計算した相続税の総額7052万8800円に基づいて納税者Dの相続税額を算出すると5837万1100円となるのに、これを見過ごしたため、納税者Dの相続税額757万5000円が徴収不足になっていた。