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医療法人が行う単独新設分割の適格判定で文書回答

2023/02/09

 大阪国税局はこのほど、「医療法人が行う単独新設分割の適格判定について」の文書回答を国税庁ホームページに公表した。

 照会者は、主として診療所を経営し、医療を提供する事業(以下、医療提供事業)を近畿地域と中部地域で行っている法人(社団である医療法人)。これまで、これらの地域間において人事交流や研修等を行うことで統一的な経営を行ってきたが、医療を必要とする患者の特色等に地域差が生じていることから、これに対応するため、今般、同法人は分社化をし、同法人の中部地域における医療提供事業(以下、本件中部事業)を別法人で行うことを考えている。

 具体的には、同法人のみを分割法人とし新たに法人を設立する単独新設分割(以下、本件単独新設分割)により、本件中部事業をその新たに設立する法人(以下、本件新設法人)に移転することとしている、なお、同法人および本件新設法人はいずれも持分の定めのない医療法人であり分割の対価として金銭等の交付はない。

 医療法人が新設分割を行う場合は、分割法人が新設分割計画を作成し、当該計画について総社員の同意を得るなどの手続を経て、都道府県知事の認可を受け、分割の登記を行うことでその効力が生ずることとなる(医療法60の3、61、61の3、61の5)。

 この場合、新設分割を行うことができる医療法人および新設分割により設立する医療法人は、いずれも持分の定めのない医療法人に限られている(医療法60、61の2、医療法規則35の6三)。また、持分の定めのない医療法人から持分の定めのある医療法人への移行はできないこととされている(医療法規則30の39②)。

 持分の定めのない医療法人である同法人は、医療法に基づき本件単独新設分割を行うところ、株式会社のように株式に相当する概念がないが、本件単独新設分割が適格分割となるか事前照会を行った。

 なお、本件単独新設分割においては次のことを予定している。➀本件単独新設分割前の理事および監事の全7名のうち3名が本件新設法人の理事に就任し、そのうち1名が代表理事として経営の中枢に参画することが見込まれている。②本件単独新設分割前の本件中部事業に係る主要な資産及び負債が本件新設法人に移転する。③本件単独新設分割の直前に本件中部事業に従事していた従業者の80%以上の者が本件新設法人の業務に従事することが見込まれている。④本件中部事業は本件分割後に本件新設法人において引き続き行われることが見込まれている。

 大阪国税局は、「照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答している。

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