医療法人の新認定要件 関係者への「特別の利益」が明らかに
2017/10/13
良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」の一部改正により、「持ち分あり医療法人」から「持ち分なし医療法人」への移行計画の認定制度において、認定要件の追加等の新しい規定が今年10月1日からスタートした。
新しい認定要件は、従来の認定要件である「社員総会の議決があること」、「移行計画が有効かつ適正であること」、「移行計画期間が3年以内であること」のほかに、運営に関する適正性要件が8つ追加された。例えば、医療法人関係者に特別の利益を与えないこと、役員報酬について不当に高額にならないように定めていること、社会保険診療報酬(介護保険・助産・予防接種を含む)に係る収入が全体の80%超、といった要件を厚生労働省が審査することとなる。
上記要件の「特別の利益を与えないこと」の具体的な基準が、9月29日に厚生労働省医政局医療経営支援課長から出された通知の中で明らかにされている。
「特別の利益」となる行為
1.医療法人の所有する財産をこれらの者に居住、担保その他の私事に利用させること。
2.医療法人の余裕金をこれらの者の行う事業に運用していること。
3.医療法人の他の従業員に比し有利な条件で、これらの者に金銭の貸付をすること。
4.医療法人の所有する財産をこれらの者に無償又は著しく低い価額の対価で譲渡すること。
5.これらの者から金銭その他の財産を過大な利息又は賃貸料で借り受けること。
6.これらの者からその所有する財産を過大な対価で譲り受けること、または医療法人の事業目的の用に供するとは認められない財産を取得すること。
7.これらの者に対して、医療法人の役員等の地位にあることのみに基づき給与等を支払い、または医療法人の他の従業員に比し過大な給与等を支払うこと。
8.これらの者の債務に関して、保証、弁済、免除または引受け(医療法人の設立のための財産の提供に伴う債務の引受けを除く)をすること。
9.契約金額が少額なものを除き、入札等公正な方法によらないで、これらの者が行う物品の販売、工事請負、役務提供、物品の賃貸その他の事業に係る契約の相手方となること。
10. 事業の遂行により供与する利益を主として、または不公正な方法で、これらの者に与えること。
※これらの者・・・社員、理事、監事、使用人その他の当該医療法人の関係者