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国外財産調書の不提出犯を初適用 令和元年度の査察概要

2020/06/12

 国税庁はこのほど、令和元年度における「査察の概要」を公表した。
 
 それによると、査察の処理件数は165件で、そのうち116件を告発した。令和元年度における重点事案と位置付けた消費税受還付事案については11 件を告発。そのほかの重点事案として無申告ほ脱事案は過去5年間で最も多い27件を告発。国際事案の告発は25件だった。

 
消費税の不正受還付のケースとしては、Aは、貿易業を営むB社およびC社の実質経営者として業務全般を統括していたが、取引実態がないにもかかわらず、国内での宝飾品仕入を装い架空仕入(課税取引)を計上するとともに、香港法人への販売を装い架空輸出売上(免税取引)を計上する方法により、多額の消費税還付金額を記載した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受け、または受けようとした(一部未遂)。

 また、国際事案では、国外財産調書不提出に係る罰則が初めて適用された。Bは、家具の輸入販売仲介業を営んでいたが、売上代金を他人名義の預金口座に入金するなどの方法で事業所得を除外したほか、同様の方法で所得を隠し、所得税の確定申告を一切しない方法で多額の所得税を免れていた。また、多額の売上代金が入金された国外預金を有していたにもかかわらず、正当な理由なく国外財産調書を提出期限までに提出していなかったため、国外財産調書不提出に係る罰則を適用して告発した。

 令和元年度の税額の総額は1198500万円で、そのうち告発分は927600万円だった。

 
令和元年度中に一審判決が言い渡された件数は124で、すべてに有罪判決が出され、そのうち実刑判決が5人に出された。実刑判決のうち最も重いものは、査察事件単独に係るものが懲役10月、ほかの犯罪と併合されたものが懲役9年だった。

 告発事案を税目別にみると、「法人税」が64件、脱税額は563600万円。「所得税」は17件で、脱税額は16700万円。「消費税」は32件で、脱税額は197500万円。「相続税」は0件。「源泉所得税」は3件で、脱税額は5800万円となった。告発件数の多かった業種のトップは「建設業」と「不動産業」の19件。次いで「人材派遣」が10件、「下水道管調査」が5件となっている。

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