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国税庁 3つの柱による「国際戦略トータルプラン」を公表 

2016/10/28

 国税庁はこのほど、国際課税の取組みの現状と今後の方向を取りまとめた「国際戦略トータルプラン」を公表した。

 近年、個人投資家からの海外投資や企業における海外取引が増加するなど、経済社会がますます国際化している。こうした中、いわゆる「パナマ文書」の公開やBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの進展などにより、国際的な租税回避行為に対して、国民の関心が大きく高まっている。国税庁では、国内のみならず、国際課税への取組みを重要な課題と位置付けているが、今回、改めて「国際戦略トータルプラン」をまとめ、各取組みを推進することで、課税上問題がある場合には積極的に調査等を実施するとしている。

 「国際戦略トータルプラン」では、「情報リソースの充実」「調査マンパワーの充実」「グローバルネットワークの強化」という3つの柱を打ち出している。

 まず、情報リソースの充実では、『国外送金等調書の活用』として100万円超の国外への送金および国外からの受金の把握、『国外財産調書の活用』として5,000万円超の国外財産(預金、有価証券や不動産等)の把握、『財産債務調書の活用』として3億円以上の財産(預金、有価証券や不動産等)または1億円以上の有価証券等の把握(所得2,000万円超の者)などを掲げている。

 次に、調査マンパワーの充実では、『局統括国税実査官(国際担当)・国際調査課』において国際的租税回避行為に係る資料の収集・分析、調査企画、複雑な海外取引に係る調査手法の研究・開発を実施。『局・署国際税務専門官』において国際的な課税上の問題がある事案の発掘、積極的な調査の実施を行う。また、『重点管理富裕層PTの設置・拡大』として東京・大阪・名古屋局にPTを設置し、富裕層のうち特に高額な資産を有していると認められる者を関係個人・法人と一体的に管理および調査事案の企画を実施する。平成29年7月以降は、全国的な実施体制に拡大していく。

 最後に、グローバルネットワークの強化では、『租税条約等に基づく情報交換』『CRSによる金融口座情報の自動的交換』のほか、『国際的な枠組みへの参画』として、G20/OECDのBEPSプロジェクトにおいて、電子経済の発展や国際的な租税回避に対処するための様々な勧告を行うほか、国内における法整備等(例:国外事業者が国境を越えて行う電子書籍の配信等への消費課税や多国籍企業情報の報告制度)を受けて、制度の周知・広報等に的確に対応する。また、OECD等における取組みにも積極的に参画していく。

 国税庁では、情報収集・活用の強化、専門体制の整備・拡充および外国当局との協調等の複数の取組みを積極的に推進することで、富裕層や海外取引のある企業による海外への資産隠しや国際的な租税回避行為に適切に対処し、新たに生じる国際課税上の課題に積極的に対応していく構えだ。

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