平成30事務年度の法人税調査 申告漏れ所得金額は1兆3813億円
2019/11/12
国税庁はこのほど、平成30事務年度法人税等の調査事績の概要を公表した。
それによると、資料情報等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算が想定されるなど、調査必要度が高い法人9万9千件(前年対比101.3%)について実地調査を実施したところ、法人税の非違があったのは7万4千件(同101.8%)、その申告漏れ所得金額は1兆3813億円(同138.2%)、追徴税額は1943億円(同99.8%)だった。
法人消費税については、9万5千件(同101.4%)の実地調査を行い、このうち消費税の非違があった法人は5万6千件(同100.6%)、追徴税額は800億円(同106.9%)だった。
主な取組みとしては、虚偽の申告により不正に消費税の還付金を得ていると認められる法人を的確に選定し、厳正な調査を実施。平成30事務年度は、消費税還付申告法人のうち6600件(同97.5%)に実地調査を行い、消費税175億円(同67.9%)を追徴課税した。また、そのうち800件(同105.3%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、47億円(同80.4%)を追徴課税した。
また、国税庁では、無申告法人を的確に管理するとともに、稼働無申告法人に対する調査についても重点的に取り組んでいる。平成30事務年度においては、事業を行っていると見込まれる無申告法人に実地調査を実施し、法人税76億円(同151.4%)、消費税66億円(同112.7%)、合わせて142億円(同130.5%)を追徴課税した。このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人に対して法人税43億円(同160.2%)、消費税22億円(同136.7%)を追徴課税した。
そのほか、海外取引法人等については、国外送金等調書をはじめとした資料情報等から選定し、租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査を実施。平成30事務年度は、実地調査を1万6千件(同95.0%)実施したところ、4400件(同97.0%)において海外取引等に係る非違があり、申告漏れ所得金額を6968億円(同189.9%)把握した。