所有者不明土地の使用者を所有者とみなす制度 175団体が適用事例あり
2022/06/02
一般財団法人資産評価システム研究センターがこのほど公表した「令和3年度調査研究報告書(土地・家屋・地方税における資産課税のあり方)」の中で、令和2年度税制改正を踏まえた地方団体における所有者不明土地への対応状況が報告されている。
令和2年度税制改正において、次の地方税法の改正が行われている。
①迅速・適正な課税に資する観点から、相続人等に対し、「現に所有している者」として、その氏名、住所等を申告させることができる制度が創設された(現に所有している者の申告の制度化)。
②地方団体が調査を尽くしても所有者が一人も明らかとならない資産について、当該資産を使用収益している者が存在する場合、あらかじめ当該使用者に通知を行った上で、使用者を所有者とみなして課税することができることとされた(使用者を所有者とみなす制度の拡大)。
今回の報告書によると、現に所有している者(相続人等)の申告関係では、現に所有している者の申告について条例へ規定の整備を行っている団体は1542 団体、整備に向けて調整中は 96 団体、整備する予定がないのは 81 団体だった。
すでに規定を整備している 1542 団体について、令和2年度における申告件数1000件以上が 42 団体ある一方、同0件が 836 団体となっている。
使用者を所有者とみなす制度の令和3年度適用状況等をみると、令和3年度課税における適用として、175 団体が適用ありとしており、令和4年度課税に向けて調査中は 519 団体だった。
175 団体中、ほとんどの団体(160 団体)が適用件数1~4件だったが、同 20 件超も3団体あった。主な適用事例としては、住居・店舗として使用されている土地・家屋、駐車場として営業されている土地などの回答があった。