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文書回答 関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係

2019/01/11

 東京国税局はこのほど、関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係に関する文書回答を公表した。

 照会者は、不動産賃貸業を営んでおり、平成23年までの課税期間分の消費税等の申告においては簡易課税制度(消費税法第37条)を選択していた。平成24年にオフィスビルの取得を新たに予定していたため、関与税理士に税の取扱いについて相談していたが、平成23年中に簡易課税制度選択不適用届出書を提出すればオフィスビルの取得に係る消費税等相当額のうち一定の金額の還付を受けることができたにもかかわらず、関与税理士がその説明を行わなかったことから、平成24年1月1日から同年12月31日までの課税期間分の消費税等の申告において簡易課税制度の適用を受けたまま申告および納税を行った。

 その後、関与税理士に対して損害賠償を請求したところ、簡易課税制度を適用しないとした場合の消費税等の還付相当額と実際に納付した消費税等の額との合計額を基に算定した一定の金額を関与税理士から受領した。

 なお、照会者は、消費税等の税抜経理方式を適用しており、本件金額相当額については、平成24年分のほか、平成25年分から平成29年分までの各年分に繰り延べて、その全額を不動産所得の金額の計算上必要経費に算入していた。

 事前照会は、関与税理士から受領した金額は所得税法上、非課税所得には該当せず、照会者の不動産所得の金額の計算上、不動産所得に係る総収入金額に含めるべきものと解して差し支えないかというものだ。

 照会者は、「一般に、税理士が作成した確定申告書に誤りがあり修正申告により税金を納めることとなっても、本税については本来納めるべき税額を納めたに過ぎないが、簡易課税制度を選択するか否かは納税者の選択によるため、関与税理士の説明不足により簡易課税制度の適用を受けたまま申告および納税を行った結果、照会者が支払ったオフィスビルの取得に係る消費税等相当額のうち一定の金額について、原則的な制度(消費税法第30条)を適用すれば還付を受けられたであろう金額につき還付を受けられなくなったため、経済的に損失が生じたといえ、本件金額は、当該損失を補てんするものであることから、所得税法施行令第30条第2号に規定する『不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金に該当すると考えられる」とした。

 しかしながら、「税込経理方式または税抜経理方式の別はあるものの、消費税等の額はその性質上、所得税の課税所得金額の計算に含めるものとされており、その事業者が負担した消費税等の額については必要経費に算入されていることからすれば、本件金額は、当該必要経費に算入されている金額をその範囲内で補てんするものであり、所得税法上非課税とされる損害賠償金から除かれることになる。ゆえに、本件金額は不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入することとなる」と判断して事前照会したところ、東京国税局は、事実関係が前提なら差し支えないとした。

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