東京高裁も納税者勝訴 当局の行為計算否認の適用認めず
2020/07/20
国内で音楽事業を行うユニバーサルミュージック合同会社(ユニバーサル社)が、同族外国法人からの借入利息を損金の額に算入したことは法人税を「不当に減少させるものだ」として、税務当局から行為計算否認(法人税法132条1項)の適用を受けたことから裁判になっていた事例の二審の判決が、令和2年6月24日、東京高裁であった。
東京高裁は、一審に続き、英国を中心とするグループ法人の企業組織再編に組み込まれた問題の借入が、「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」には当たらないと判断、ユニバーサル社に軍配を上げた。
税務当局サイドでは、「同族企業による複数の行為又は計算が積み重なることによって、税負担減少結果が生じている場合には、当該複数の行為又は計算を一体として「その行為又は計算」に該当する」と解せば、問題の借入利息の損金算入は否認対象の「行為計算」にあたると主張していた。
しかし、東京高裁は、「問題の借入を除く一連の再編等の行為は法人税を減少させる結果となるとは認められない」としたうえで、870億円弱の無担保借入に関する事情を検討し、経営管理の合理化に向け関連会社整理のための株式買取だけに利用されるためだったことなどから、税負担減少以外に経済的利益があり、経済的合理性が認められるとした。
国側はこれを不服として上告受理申立てを行った。