消費税の転嫁拒否行為に対する指導 今年9月末までに3025件
2016/10/24
経済産業省では、平成26年4月の消費税率8%への引上げを踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、公正取引委員会とも連携して、①監視・取締り対応、②広報・事業者からの相談対応を一体的に実施し、転嫁拒否の未然防止、違反行為への迅速な是正を行っているが、このほど、平成28年9月末までの主な転嫁対策の取組状況をまとめて公表した。
それによると、中小企業庁では、平成26年4月以降、公正取引委員会と合同で中小企業・小規模事業者等に対する大規模な書面調査を行い、得られた情報をもとに立入検査等の調査を実施。平成28年9月末までの転嫁拒否行為に対する調査・取締り状況(公正取引委員会および中小企業庁の合算)は、調査着手件数が8380件、立入検査4040件、指導3025件(うち大規模小売業者129件)、勧告35件(うち大規模小売業7件)、措置請求5件だった。
指導件数の内訳を業種別に見ると、最も多いのが製造業の757件(ほか勧告1件)。次いで、その他(事業サービス業(ビルメンテナンス業・警備業など)、娯楽業など)が468件(同11件)、情報通信業371件(同2件)、建設業357件(同4件)小売業266件(同7件)などが目立った。
勧告の一例としては、学習指導事業を行う㈱トライグループは、①家庭教師の業務委託契約を締結している個人事業者に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに委託料金を据え置いて支払った。②教室施設の賃貸人のうち、税込価格で賃料を契約している賃貸人の一部に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料を据え置いて支払ったことで、平成26年12月19日に勧告されている。
最近では、住宅等の建築リフォーム工事業を行う(株)松下サービスセンターと(株)APサービスセンターは、①サイディング工事を請け負わせている個人事業者または法人事業者に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに工事代金を据え置いて支払った、②駐車場等の賃貸人等の一部に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料等を据え置いて支払ったとして、平成28年8月31日に勧告された。
なお、平成28年度も引続き書面調査を実施しているが、書面調査以外にも、転嫁対策調査官(転嫁Gメン)が転嫁拒否行為に関する情報の収集、相談対応などを行うGメンパトロールを展開中だ。