相続税の税理士関与割合は前年から5.8ポイント減少
2017/11/08
財務省はこのほど、平成28事務年度国税庁実績評価書(平成28年7月1日から平成29年6月30日までの1年間)を公表した。
実績目標のひとつである「税理士業務の適正な運営の確保」では、「税理士に対する的確な調査等の実施」という実施計画に対し、同事務年度は税理士法違反行為に関する情報収集の充実に努め、業務の実態確認や税理士法に基づく調査を的確に実施し、税理士法に違反した税理士等に対しては懲戒処分等を行ったと評価。
同事務年度における税理士・税理士法人等に対する調査件数は2940件(前年度2863件)。懲戒処分等件数は39件(同41件)で、内訳は禁止処分11件、停止処分28件だった。
また、「書面添付制度の普及・定着に向けた取組」では、書面添付の記載内容の充実や添付割合の向上が図られるよう、税理士会等と具体的な方策を協議するなどの取組を実施した。なお、平成28年度における書面添付の割合は、所得税が1.3%(同1.2%)、相続税が15.6%(同13.6%)、法人税が8.8%(同8.6%)となっている。
所得税と法人税の税理士関与割合を見ると、所得税(20.2%)ならびに法人税(88.7%)ともに年々増加傾向にある。一方、相続税の税理士関与割合を見ると、平成27年度までは増加傾向だったが、同28年度は84.0%と昨年度から5.8ポイント減少した。相続税については基礎控除の引下げなどにより、平成27年中における課税対象の被相続人数は約10万3千人。前年の約5万3千人から大幅に増加しているが、納税者の中には税理士に依頼せず、自分自身で申告するケースも少なくないようだ。