相続税調査 海外資産に係る申告漏れ等の非違件数が過去最高
2020/12/23
国税庁が公表した令和元事務年度における相続税の調査状況によると、実地調査の件数は1万635件(平成30事務年度1万2463件)、このうち申告漏れなどの非違があった件数は9072件(同1万684件)で、非違割合は85.3%(同85.7%)だった。
申告漏れ課税価格は3048億円(同3538億円)で、実地調査1件当たり2866万円(同2838万円)。申告漏れ相続財産の金額の内訳は、「現金・預貯金等」993億円(同1268億円)が最も多く、次いで「土地」373億円(同422億円)、「有価証券」323億円(同388億円)と続いている。
追徴税額(加算税98億円を含む)は681億円(同708億円)。実地調査1件当たりでは641万円(同568万円)となり、対前事務年度比較112.8%と増加した。重加算税の賦課件数は1541件(同1762件)、賦課割合は17.0%(同16.5%)となっている。
国税庁では、実地調査のほか、簡易な接触(文書や電話による連絡または来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤りなどがある申告を是正するなどの接触)を実施しているが、令和元事務年度における簡易な接触の件数は8632件(同1万332件)。このうち申告漏れなどの非違および回答などがあった件数は5397件(同5878件)で、その割合は62.5%(同56.9%)と前事務年度より5.6ポイント増加した。簡易な接触1件当たりの追徴税額は48万円(同42万円)も対前事務年度比114.0%と増加した。
調査に係る主な取組みとしては、無申告事案を把握するための取組みを積極的に行い、実地調査を1077件(同1380件)実施した。このうち申告漏れの非違があったのは921件(同1232件)、追徴税額の総額は97億円(同101億円)。実地調査1件当たりの追徴税額は897万円(同731万円)で対前事務年度比122.6%となった。
国税庁では海外資産の把握にも力を入れており、海外資産関連事案に対する実地調査は1008件(同1202件)。このうち申告漏れ等の非違があった件数は149件(同144件)で過去最高となった。申告漏れ課税価格は77億円(同59億円)だった。
また、贈与税事案については無申告事案を中心に実地調査を3383件(同3732件)実施。申告漏れ等の非違があった件数は3217件(同3549件)、追徴税額の総額は78億円(同67億円)となっている。