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総務省 令和6年度個人住民税検討会報告書を公表

2025/04/18

 総務省はさきごろ、令和6年度個人住民税検討会報告書を公表した。

 報告書には、個人住民税の現年課税化についての意義とこれまでの議論が記されている。それによると、所得税(国税)は所得が発生した年に課税・納税が行われる「現年度課税」であるのに対し、個人住民税(地方税)は前年中の所得を基準として翌年度に課税する「翌年度課税」とされている。

 この個人住民税の翌年度課税の仕組みは、課税団体を明確化しつつ、納税義務者、企業および地方団体の事務負担に配慮したものであるが、定年退職などにより前年に比べて収入が大きく減少した者にとっては、税の負担感が重くなるなどの課題が指摘されてきた。

 日本経済団体連合会や日本商工会議所からは、「現行の仕組みで致命的な問題が生じていない中であえて現年課税化する必要はなく、なぜ現年課税化が必要なのか納税者や企業の納得を得るよう、丁寧に説明する必要がある。さらに、未曾有の人手不足に見舞われる中小企業や自治体の双方に多大な事務負担を押し付け、生産性を低下させる極めて影響の大きい制度変更であり企業の納税事務負担の増加を招く個人住民税の現年課税化には反対」といった意見があった。

 検討会の構成員からは、所得税方式や市町村精算方式を導入した場合に企業や市町村において追加となる事務負担を具体的に確認していく必要があるのではないか、働き方の多様化を踏まえた公平性の観点から現年課税化により公平性を担保できるのではないか、など引き続き検討が必要な論点についての指摘も多く出された。

 さらに、検討会で取り上げた各企業における源泉徴収や年末調整に係る対応状況については、企業側として、現行の仕組みで致命的な問題が発生していない以上、現年課税化することによって現状以上の負担を求められることは厳しいというものであった。

 この他、外国人労働者の増加等に伴い、賦課期日である1月1日後に出国した場合の課税の適正化についても指摘されているところであり、このような外国人労働者の増加等を背景として、個人住民税の現年課税化について検討を求める意見も出された。

 今後は、これまでの検討会における課題の整理や、行政手続や企業事務のデジタル化のさらなる進展を見据えて関係者の事務負担を軽減する手法を引き続き模索し、そのためにはどのような技術的な対応が必要なのかといった実務的な面を引き続き検討していくとともに、その実現にあたっての制度面の課題などについて関係者の意見をよく伺いながら検討を深めていく必要があることを示した。また、今後は働き方の多様化を踏まえた公平性の観点や出国者への課税の観点からも、中長期的な視点で検討を深めていく必要があるとしている。

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