税務・経営ニュースTaxation Business News

総務省 地方財政審議会が令和8年度税制改正の意見まとめる

2025/12/05

 総務省は11月21日、「令和8年地方税制改正等に関する地方財政審議会意見」を公表した。

 今回は、同審議会に設置された「地方税制のあり方に関する検討会」および「自動車関係税制のあり方に関する検討会」にて検討を含め審議を重ねた結果、「地方税制のあり方に関する検討 会報告書 ― 地方公共団体間の税収の偏在や財政力格差に係る原因・課 題の分析等 ―」、「地方税制のあり方に関する検討会報告書 ― 道府県民税利子割の税収帰属の適正化 ―」、「自動車関係税制 のあり方に関する検討会報告書」および同審議会意見の4点をとりまとめている。

 まず、道府県民税利子割は、納税義務者の住所地(あるべき税収帰属地)と預貯金の口座所在地が概ね一致するとの制度創設時の考えから、住所地課税の例外として、預貯金の口座所在地都道府県で課税される。しかし、近年、インターネット銀行の利用拡大等の経済社会の変化により、あるべき税収帰属地と課税団体との間に乖離が生じる構造となっている課題があった。そこで、地方団体間でこの乖離を調整する地方税制上の仕組みとして、新たに清算制度を導入することを求めた。

 また、税収の偏在や財政力格差については、済活動の東京一極集中は、企業行動を最適化した結果から生じる構造的な問題であり、一過性のものではないとして、東京都の財源超過額は既に過去最高となっており、現状の地方公共団体間の財政力格差を放置すれば、財政力格差が拡大する蓋然性が高いと指摘。地方公共団体間の財政力格差の是正を図るべく、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築するための具体的な方策を講じるべきとした。

 そのほか、自動車関係税制では、環境性能割の廃止はカーボンニュートラルに逆行し、与党大綱の「税収中立」にも反することから適当でないとして、「2035年までに新車販売で電動車100%化」の政府目標と整合するよう、環境性能の高い電動車に環境性能割を優遇して取得時の負担軽減を図る一方、非電動車には現在以上の高い税率区分を適用すべきとした。

 さらに、総排気量の値がないEV・FCVに対し、種別割で最低税率を一律に適用する現行の取扱いは、財産的価値や道路損傷性が高い高級EVの車種の充実を踏まえると、税負担の公平を図る観点から早期に見直すべきと提言した。

PAGE TOP