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3年度査察概要 一審判決117件すべて有罪で6人に実刑判決

2022/06/21

 国税庁はこのほど、令和3年度における「査察の概要」を公表した。

 それによると、査察の処理件数は103件で、そのうち75件を告発した。脱税額の総額は約102億円、告発した査察事案に係る脱税総額は約61億円だった。1件当たりの脱税額は総額分で9900万円、告発分は8100万円。告発率は72.8%と昨年度の73.5%より下がったが、引続き高水準となった。

 令和3年度の重点事案と位置付けた消費税事案の告発件数は21件。そのうち、国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い「消費税不正受還付事案」については9 件を告発。その不正受還付額は4億3400万円だった。

 たとえば、全国の百貨店催事場などを巡回して愛玩用動物に関するイベントを企画・開催する法人が、架空の課税仕入れを装う方法で控除対象仕入税額を過大に計上し、不正に消費税の還付を受けていた。この事案では、所轄税務署において還付を保留した消費税額についても未遂犯として告発している。

 そのほかの重点事案として「無申告ほ脱事案」は16件を告発。「国際事案」では17件を告発した。

 令和3年度中に一審判決が言い渡された件数は117件で、そのすべてが有罪判決となっており、そのうち6人に実刑判決が出されている。実刑判決のうち最も重いものは、査察事件単独に係るものが懲役2年、ほかの犯罪と併合されたものが懲役9年だった。

 たとえば、輸出免税制度を使った消費税還付の仕組みを悪用した法人の代表者に対して、懲役1年8月の実刑判決が出されている。その法人は、国内の金地金取扱業者に金地金を販売しており、虚偽の請求書を作成するなど香港法人に対する輸出販売を装い、架空の免税売上を計上する方法により不正に消費税の還付を受け、または免れていた。

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