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2020年度税制改正 法人課税関係をチェック

2020/02/12

 2020年税制改正大綱では、法人課税において、オープンイノベーションに係る措置が盛り込まれている。既存企業が従前の閉鎖的でコストの高い自己開発にこだわることなく、新たな分野に投資するなど自ら事業革新を進めることは、企業が生き残るために必要不可欠であり、そのための手段として、新しい技術・ノウハウ等を持つイノベーションの担い手であるベンチャー企業と協働し、オープンイノベーションの取組みを重点的に進めていくことが重要であることから、税制においても、事業会社による一定のベンチャー企業への出資について、その25%相当額の所得控除ができる措置が創設される。その際、一定期間(5 年)内に、出資した株式を売却等した場合には、対応する部分の金額を益金に算入する仕組みになる。

 また、投資や賃上げを促す措置として、企業マインドを変革させ、果断な経営判断を促す観点から、収益が拡大しているにもかかわらず賃上げも投資も消極的な企業に対し研究開発税制などの租税特別措置の適用を停止する措置が強化される。また、大企業に対する賃上げ及び投資促進税制について、国内設備投資額が当期償却費総額の「10%を超える」要件について「30%を超える」要件に引き上げられる。

 さらに、一部の大企業において、接待飲食費の特例によって交際費が大きく変化している状況とは言えず、現預金の大幅な減少に寄与していないことから、資本金の額等が100億円超の大企業は本特例の対象法人から除外される。

 5G導入促進税制にも注目したい。わが国経済社会や国民生活の根幹をなす5G情報通信インフラを早期に広く国民に普及させるため、超高速・大容量通信を実現する全国基地局の前倒し整備を支援するとともに、地域活性化や地域の課題解決を促進するため、地域の企業等様々な主体が、自ら5Gシステムを構築可能とするローカル5Gの整備を支援することが極めて重要となっている。こうした点を踏まえ、超高速・大容量通信を実現する全国5G基地局の前倒し整備及びローカル5Gの整備に係る一定の投資について、税額控除(15%)又は特別償却(30%)ができる措置が創設される。

 そのほかの主な改正は次のとおり。

○企業の機動的な組織再編を促し、企業グループの一体的で効率的な経営を後押しするため、平成14年度の制度創設以来18年ぶりに連結納税制度を抜本的に見直し、グループ通算制度へ移行することになった。具体的には、企業グループ全体を一つの納税単位とする現行制度に代えて、企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行いつつ、損益通算等の調整を行う簡素な仕組みとすることなどにより事務負担の軽減が図られる。また、開始・加人時の時価評価課税・欠損金の持込み等について組織再編税制と整合性が取れた制度とすることで、時価評価課税や繰越欠損金切り捨ての対象が縮小される。

○特定の資産の買換えの場合等の課税特例について、一定の見直しを行った上、その適用期限が令和5年3月31日まで3年(過疎地域に係る措置及び危険密集市街地に係る措置については、令和3年3月31日まで)延長される。

○わが国は急速な人口減少局面にあることに加え、地方においては東京圈等への人口流出と地域経済の縮小が進んでいます。人口の東京への過度な集中を是正すべく、首都圈から地方に移転する企業が地方拠点強化税制をより積極的に活用するよう促すため、地方拠点強化税制における雇用促進に係る措置について、移転型事業の上乗せ措置における雇用者1人当たりの税額控除額が3年間で最大120 万円(現行:90 万円)に拡充される。

○志ある企業の地方への寄附による地方創生の取組みへの積極的な関与を促すことにより、地方への資金の流れを飛躍的に高めるため、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について、手続の抜本的な簡素化・迅速化を図るほか、税額控除割合が現行の3割から6割に引き上げられる。

○交際費等の損金不算入制度について、その適用期限が延長されるとともに、中小法人の損金算入の特例の適用期限が延長される。具体的には、中小法人(資本金の額等が1億円以下)について、特例措置として定額控除限度額(800万円)までの交際費等を全額損金算入することが認められていますが、その特例措置の適用期限が令和4年3月31日まで2年延長される。○中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、次の①・②の見直しを行った上、その適用期限が令和4年3月31日まで2年延長される。①対象法人から連結法人が除外される。②対象法人の要件のうち常時使用する従業員の数の要件が500人以下(現行:1,000人以下)に引き下げられる。

アドバイザー/中島孝一 税理士

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