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日本居住者の金融口座情報 86カ国・地域から205万件を受領

2021/02/24

 国税庁はこのほど、令和元事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要を公表した。

 租税条約等に基づく情報交換には、「自動的情報交換」、「自発的情報交換」「要請に基づく情報交換」の3つの類型があり、今回で2回目となる金融口座情報(CRS情報)の「自動的情報交換」では、日本の居住者に係る金融口座情報205万8777件(前事務年度:74万4986件)を86カ国・地域の外国税務当局から受領した一方、日本の非居住者に係る金融口座情報47万3699件を国税庁から65カ国・地域に提供した。

 CRS 情報の自動的情報交換の活用例として、次の内容が紹介されている。
 「受領したCRS 情報をもとに、調査対象者A 個人名義の海外預金口座を把握したが、所得税申告書等には関連する所得および財産の記載がなく、所得税の申告漏れが想定された。調査の結果、A は海外で金融商品への投資や不動産の購入、貸付および売却を行っていることが判明し、これらに関する所得税の申告が漏れていることを把握した」。

 CbCR(Country by Country Report:国別報告書)の自動的情報交換では、1751社分のCbCRを44カ国・地域の外国税務当局から受領し、844 社分のCbCRを国税庁から52カ国・地域に提供した。

 法定調書により把握した非居住者等への支払についての情報15万7千件を外国税務当局から受領した一方、87万1千件を外国税務当局に提供した。

 法定調書情報の自動的情報交換の活用例では、次の内容が紹介されている。
 「X国の税務当局から提供された資料をもとに、日本の居住者Bの申告内容を検討したところ、X国のY銀行に預け入れた預金に係る受取利子が日本で申告されていなかったことを把握した」。

 次に、「自発的情報交換」は、国際協力の観点から自国の納税者に対する調査などの際に入手した情報で外国税務当局にとって有益と認められる情報を自発的に提供するもの。外国税務当局から国税庁に提供された「自発的情報交換」の件数は394 件であり、特定の国から大量の情報を受領した昨事務年度(9666件)と比較し、大幅に減少した。

 国税庁から外国税務当局に提供した「自発的情報交換」の件数は106件で、例年と比べ減少している。地域別にみると、アジア・大洋州の国・地域への提供が70件と最も多くなっている。

 「自発的情報交換」では、国税庁から外国税務当局に情報提供をした次の例が紹介されている。
 「内国法人は、X国に所在する法人Cから製品を輸入しているが、その代金は法人Cの代表者名義の口座に送金されており、法人CがX国において申告すべき売上を除外していると想定されたため、X国の税務当局に対し、送金や取引に関する資料を提供した」。

 最後に、国税庁から外国税務当局に行った「要請に基づく情報交換」の件数は613件となり、昨事務年度までの増加傾向から転じて減少した。地域別にみると、日本と経済的関係が強いアジア・大洋州の国・地域向けの要請が490件となり、約8割を占めている。外国税務当局から国税庁に寄せられた「要請に基づく情報交換」の件数は233件で、平成29事務年度以降、毎年増加している。

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