国外財産調書 令和3年分の提出は1万2109件、総財産額5兆6364億円
2023/02/07
国税庁はこのほど、令和3年分(令和3年12月31日時点)の国外財産調書の提出状況を公表した。国外財産調書の提出制度は、平成26年1月(平成25年12月31日分)から施行され、今回で9年目の集計となる。
令和3年分の国外財産調書の提出件数(令和4年6月末までに提出されたもの)は1万2109件。前年分の1万1331件より778件の増加となった。国税局別の提出件数は、東京局7755件(64.0%)、大阪局1737件(14.3%)、名古屋局858件(7.1%)、その他1759件(14.5%)となっている。
総財産額は5兆6364億円で、前年分4兆1465億より1兆4899億円の増加となった。国税局別に見ると、東京局は前年分より1兆2668億円多い4兆2829億円で全体の76.0%を占めている。大阪局は7024億円(12.5%)、名古屋局2296億円(4.1%)、その他4214億円(7.5%)。
財産を種類別に見ると、「有価証券」が最も多く3兆5695億円(63.3%)。次いで、「預貯金」7591億円(13.5%)、「建物」4474億円(7.9%)、「貸付金」1576億円(2.8%)、「土地」1482億円(2.6%)、「それ以外の財産」5545億円(9.8%)となっている。
なお、国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載して提出するため、適正な提出を確保するために次のような特例措置等が設けられている。
① 加算税の軽減措置・・・提出された調書に記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を軽減(▲5%)
② 加算税の加重措置・・・調書の提出がない場合又は提出された調書に記載のない国外財産に係る所得税の申告漏れが生じたときには、加算税を加重(+5%)
③国外財産調書に記載すべき国外財産に関する書類の提示等がない場合の加算税の軽減措置または加重措置の特例
④ 罰則の適用・・・正当な理由なく期限内に提出がない場合又は虚偽記載の場合に、1年以下の懲役または50 万円以下の罰金
なお、国外財産調書の提出者および提出を要すると見込まれる者に対する令和3事務年度(令和3年7月~令和4年6月)における所得税および相続税の実地調査の結果、①の軽減措置を適用したのは135件、増差所得等金額は41億9893万円。②の加重措置を適用した件数は293件、増差所得等金額は439億円2378万円だった。