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税理士が相談を受けた中小M&Aの事例③

2020/08/19

 経済産業省が策定した中小M&Aガイドラインでは、中小企業にとってM&Aが身近なものであることを理解してもらうため、18パターンの豊富な中小M&Aの事例を紹介しているが、その中には税理士が関与先から相談を受けたことがキッカケで、M&Aが成立した事例も取り上げられている。その中のひとつを紹介する。

「経営状況が良好でない中小企業が中小M&Aを成立させた事例」

譲り渡し側:A社          譲り受け側:B社
業種:ホテル事業         業種:ホテル事業
売上高:10億円            売上高:50億円
従業員:20名 業歴:45年

【意思決定に至るまでの経緯】
 A社代表者である斉藤勇(仮)は、裸一貫でホテル事業を立ち上げ、丁寧かつ時流をとらえたサービスが評判を呼び、業界でも有名な経営者となった。しかし、近年は競合他社が増えたこともあり、客足が徐々に遠のき始め、最近3期は経常損失を計上していた。また、後継者候補であった一人息子は病気で亡くなっていた。
 75歳となった斉藤は、まだ自分の体が動くうちに中小M&Aにより事業を残したいと考え、顧問税理士に相談した。

【成立に至った経緯】
 顧問税理士から紹介されたM&A専門業者が業界内に太いパイプを有していたため、約2か月でB社とのマッチングが成立した。B社は、A社の知名度だけでなく、丁寧なサービス、教育体制と人材の質を評価した。斉藤も「自分の会社を評価してもらえた」と喜んだ。斉藤は、A社の全株式をB社に譲渡し、A社から引退した。

【成立に至った後の経緯】
 斉藤は、株式の対価である譲渡代金と退職慰労金を受け取り、老後資金として十分な額を確保することができた。引退後は、悠々自適な日々を過ごしている。

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