経済産業省の平成30年度税制改正要望が明らかに
2017/09/01
経済産業省はこのほど、平成30年度税制改正に関する要望を明らかにした。
まず、所得拡大促進税制の拡充・延長として、これまでの賃上げに加え、人材投資(新たなスキル獲得のための研修や社員の学び直しなど)に取り組む企業への支援措置を強化する。具体的には、企業の教育訓練費の伸び率に応じて税額控除率を深掘りする。中小企業については、外部中核人材の登用も含め、人材投資に取り組む企業への支援を強化。生産性の低い業種の賃上げに対して重点的な支援も行う。
次に、第4次産業革命に対応し、迅速かつ大胆な事業再編を支援するため、事業ポートフォリオ転換の円滑化措置の創設を要望。これは、産業競争⼒強化法に基づき事業再編計画の認定を受けた企業が「①ノンコア事業の売却」および「②コア事業分野の強化のための事業買収等」の双方を行う場合、②の事業買収等の取得価格に応じた圧縮損の計上を可能とすることで、①の売却時の譲渡益の課税を繰延べる税制措置を講ずるもの(平成32年度末まで)。
また、⾃社株式等を対価とした株式取得による事業再編の円滑化措置では、⼤型買収案件などで先進国では⼀般的に⽤いられている、⾃社株式等を対価とした事業買収について、その実施の円滑化を図るための課税繰延措置を行う(期限の定めなし)。
中小企業経営者の次世代経営者への引継ぎを支援する税制措置の創設・拡充も求めた。中小企業・小規模事業者の事業継続を促進するため、①親族や従業員等に株式等を贈与・相続する場合、②他企業や親族外経営者等に経営を引き継ぐ場合、③ファンドを経由して事業承継を行う場合に税負担の軽減措置を講ずることにより、円滑な事業承継を支援する。
後継者不在の場合、売却やM&Aにより経営資源や事業の再編・統合を図る手法も増えていることから、こうした多様な手法に対してインセンティブを与えることで、次世代への経営引継ぎを加速させる。要望としては、①株式・事業の譲渡益に係る税負担の軽減、②不動産の移転及び地上権等の設定に係る登録免許税の軽減の創設、③不動産の所有権移転に係る不動産取得税の軽減の創設、④⼀定の要件を満たすファンドから出資を受けた際も中⼩企業関連の優遇税制の適⽤が可能とする要件緩和を挙げている。
そのほか、企業のベンチャー投資促進税制を平成30年度末まで1年延長。中小法人の交際費課税の特例を平成31年度末まで2年延長。中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例を平成31年度末まで2年間延長などを要望した。