2025年 路線価 全国平均4年連続で上昇 都内5地点で20%超える伸び
2025/08/01
国税庁が7月1日に発表した路線価(2025年1月1日時点)は、対前年変動率の全国平均が2.7%上昇となり、4年連続で前の年を上回った。今回の路線価は、上昇した地点や地域が拡大したことが特徴だ。インバウンドの回復や全国的に再開発が進んでいることが路線価を押し上げる要因とみられる。
今回、最高路線価が上昇した都道府県庁所在都市は35都市(前年比2減)で、横ばいは11都市(同2増)、下落は前年と変わらず1都市。都市部を中心とした上昇の継続および地方部での上昇範囲の拡大など、コロナ禍からの回復が進んでいることが鮮明に見て取れる結果となった。
最高価額は、東京都中央区銀座5丁目銀座中央通りの鳩居堂前で、これで40年連続の最高価額となった。1㎡当たり4808万円(同8.7%上昇)で、3年連続の上昇。2位は大阪市北区角田町御堂筋の同2088万円(同3.2%上昇)、3位は横浜市西区南幸1丁目横浜駅西口バスターミナル前通りの同1720万円(同1.4%上昇)。
全国の標準宅地の動きを見ると、対前年変動率の全国平均値は2.7%上昇(同0.4ポイント増)で、4年連続の上昇となった。都道府県別の平均変動率については、「上昇」が35都道府県(同6増)、「下落」が12県(同4減)、「横ばい」はゼロだった。
2025年路線価において上昇率が5%を超えたのは、全国で上昇率が最も高かった東京都8.1%上昇(同2.8ポイント増)のほか、沖縄県6.3%上昇(同0.7ポイント増)、福岡県6.0%上昇(同0.2ポイント増)となっている。昨年5%以上の伸びを見せた宮城県は4.4%上昇、北海道は2.4%上昇となった。
都道府県庁所在都市の中で最も上昇率が高かったのは、オフィス期待や再開発が進むさいたま市大宮区桜木町2丁目大宮駅西口駅前ロータリーで前年から11.9%上昇(1㎡当たり592万円)した。2位は、昨年上昇率トップで、JR千葉駅ビルの建て替えとともに再開発が進んでいる千葉市中央区富士見2丁目千葉駅東口駅前広場の11.2%上昇(同248万円)。3位は、インバウンド需要の回復や商業地の再活性化が追い風となった下京区四条通寺町東入2丁目御旅町 四条通の10.6%上昇(同832万円)。山形、福島、水戸、前橋、名古屋、津、和歌山、松江、山口、徳島、松山の11市は横ばい。昨年と同様、全国で唯一の下落となったのは、鳥取市栄町若桜街道通りの前年比3.2%下落(同9.1万円)。
インバウンドの活況と再開発が都心部の地価上昇を大きく後押し
東京国税局各税務署管内の路線価動向を見ると、インバウンドの回復や再開発にともなう価額の上昇などにより、対象84地点のうち78地点が上昇、4地点が横ばい、2地点で下落した。昨年と同様、39地点で二桁の上昇となっている。
同局各税務署管内の変動率トップは、インバウンドも含めて観光地としてにぎわう東京都台東区浅草1丁目の雷門通り。4年前に反転上昇し、昨年は1㎡当たり448万円(前年比16.7%増)まで回復したが、今年は上昇幅がさらに拡大して1㎡当たり578万円(同29.0%増)となった。
昨年は都内で上昇率が20%以上を超えた場所はなかったが、今年は台東区浅草のほかに、足立区千住3丁目の北千住駅西口駅前広場通り(26.0%)、中野区中野5丁目の中野駅北口駅前広場前(24.7%)、杉並区上荻1丁目の青梅街道(21.6%)、杉並区高円寺北3丁目の高円寺駅北口商店街通り(20.1%)の全5地点で20%を超える上昇となった。
全国の税務署別で最高路線価の上昇率をみると、トップは長野県白馬村の32.4%。白馬村は、パウダースノーを求めるスキーヤーたちに人気が高く、コロナ禍からの回復で外国人観光客が増加。夏も登山を楽しむ観光客でにぎわう人気スポットとなっている。2位は北海道富良野市北の峰町の30.2%。3位は東京国税局管内で1位だった台東区浅草の29.0%だった。
路線価は、相続税、贈与税に係る土地等の評価額の基準となるもので、原則として、公示地価を基にした「時価」の8割程度を1年間の目安として定めている。年の途中で土地の実勢価格が大幅に下落し、路線価が「時価」を上回った場合、必要以上の納税額とならないよう、不動産鑑定士による鑑定評価額を基にした個別評価が行われている。