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不動産取得税の裁判で開発業者敗訴 最高裁が文理解釈の道筋示す

2017/01/25

 最高裁第1小法廷は昨年12月19日、複数棟で100戸以上のマンション等の開発を行った敷地に対し不動産取得税の減額特例が適用されるかどうかをめぐる裁判で、減額の適用が認められるとして開発業者を勝たせた東京高裁判決を破棄し、減額を認めなかった東京都に軍配を上げる判決を下した(破棄自判)。

 この裁判は、開発業者が土地を買ってから、4年かけてその土地の上に1戸あたり50㎡(貸家は40㎡)から240㎡の床面積を持つ共同住宅等100戸以上を新築し、「不動産取得税の住宅用土地の減額制度」の適用が出来るものとして当初納めた不動産取得税7000万円余りの還付を求めたところ、東京都が減額特例の適用はないとして還付を認めなかったことから、平成25年に開発業者が提起していたものだ。

 「不動産取得税の住宅用土地の減額制度」は、1戸あたり50㎡(貸家は40㎡)から240㎡の床面積を持つ住宅を敷地取得から2年以内に取得すると、その敷地の取得に対する不動産取得税について評価額×3%の計算による税額から次の金額のうち多い方を減額できるというもの(地方税法73条の24)。

①4万5千円
②1㎡当たりの土地の固定資産税評価額×2分の1×住宅床面積の2倍(200㎡を限度)×3%税率

 
この減額特例ではさらに、住宅開発が3年を超えることについてやむを得ない事情があると県知事等が認める場合には、取得するまでの期間が最高4年以内にまで延長を認める特例が用意されている(地方税法附則10条の2第2項)。


 その場合の要件の1つに、「敷地の上に建つ家屋居住用の独立区画部分が100以上ある共同住宅等を取得すること」がある(地方税法施行令附則6条の17第2項)。これが、裁判で争点になった。すなわち1棟ごとで「居住用の独立区画部分が100以上ある共同住宅等」あるものを取得するのを要件とするのか、それとも複数棟でよいのか、という問題である。

 開発業者は地方税法施行令附則にいう「居住の用に供するための独立区画部分が総数で100以上ある共同住宅等とは、不動産取得税の課税対象たる土地上に建設された共同住宅等の独立区画部分が総数で100以上あれば足り、1棟の共同住宅等につき100以上の独立区画部分があることまでは要しない」と主張していた。

 これに対し東京高裁は、特例の趣旨について「居住の用に供せられる部分の床面積に着目して、一定の居住性を備えた住宅を数多く建築させて、その供給を促進することを目的とするものと解される。そのような制度趣旨に鑑みると、その土地の上に建築される共同住宅等について、1棟で独立区画部分を100以上有する場合と、複数棟で合計100以上有する場合とで違いがあるとはいえない。(中略)この(特例の)規定は、取得した土地上に1棟の共同住宅等が建築される通常の場合を想定して定められているものであるが、2棟以上の共同住宅等が建築される場合に適用されることを排除するものではなく、むしろ、そのような場合にも同様に適用されるべきものであると解される」と、いわば住宅政策の趣旨に重きを置いた判断をしたうえ、開発業者に軍配を上げていた。

 しかし最高裁は、戸数要件の対象となる共同住宅等について、住宅の定義については家屋に含まれるものと定義されていること(地方税法73条4号)、家屋は建物である(同法73条3号)との定義があると指摘。ここから最高裁は、「ここでいう建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものをいい、別段の定めがない限り1棟の建物を単位として把握されるべきもの」と判示。特例の100戸要件を満たす共同住宅等に当たるかどうかは1棟ごとに判断すべきものとして、あくまで税法の文理解釈に重点を置き、高裁判決を覆している。

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