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税理士が当事者となった最近の訴訟事例 ~その4~

2017/09/14

財務大臣から税理士業務の禁止の処分を受けた税理士が、処分の取消しと国賠法に基づく損害賠償請求をしたところ、いずれも認められなかった事例(東京地裁 平成28年12月2日判決/原告税理士敗訴)

(1)事案の概要

 本件は税理士である原告Xが、株式会社A社の法人税の確定申告に当たり、架空の仕入れを計上することにより、所得金額を不正に圧縮した法人税の確定申告書を作成したとして、財務大臣から税理士業務の禁止の処分を受けたところ、本件処分が違法であると主張してその取消しを求めるとともに、違法な本件処分により精神的及び金銭的な損害を被ったとして、被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償金の支払を求めた事案です。

 X税理士は、本件会社のある期の法人税の確定申告に当たり、所得金額を0円、法人税額を0円とする法人税の確定申告書を作成、提出していました。

 本件申告書の別表四の所得の金額の計算に関する明細書には、当期利益の額として9万2376円との記載があり(Xが算出)、この金額に所要の加算減算等がなされた結果として、所得金額が0円と記載されていました。

 X税理士は、本件会社から提出された総勘定元帳及び試算表に基づき、損益計算書を作成したところ、当期純利益の額が約1億7000万円余りと、同社の過去の実績と比較して高額な金額となったため、本件会社の代表者からの依頼に基づき、当該年度の売上原価率がその直前期と同程度になるように、真実は発生していない仕入れを追加計上する作業を行いました。その後、税務調査が行われ、仕入れの過大計上1億7162万1441円が指摘されましたが、同時に売上げの過大計上2億743万6894円も指摘されたため、全体では減額の更正となりました。

 その後、X税理士は、財務大臣から、税理士業務禁止の処分を受けたため、本件訴訟を提起しましたが、裁判所はX税理士の請求を棄却しました。

(2)裁判所の判断
①真正の事実に反して税務書類の作成をした行為の有無(肯定)
 X税理士は、税理士法45条1項にいう真正の事実に反して税務書類の作成をしたときに該当するためには、所得金額につき、正しい所得金額に比して過少に申告することが必要であると主張していました。

 しかし裁判所は、Xの主張を認めず、「同項の文言に照らせば、そのような限定的な解釈を採用することはできない」、「実質的にみても、収益や費用の額は法人税の課税標準である所得金額の算定の基礎となるものであるから、真実は発生していない収益や費用を計上し、又は真実は発生している収益や費用を計上しない行為は、一般に公正妥当と認められる会計処理の慣行ないし基準に従った行為でないことが明らかであるのみならず、所得金額、ひいては法人税額を誤らせる危険性が極めて高い行為であり、最終的に算出された所得金額が正しい金額より高くなったか低くなったか、あるいは、その行為とは別の要因により結果的に正しい金額と一致したかにかかわらず、納税義務の適正な実現を図るという観点からそのような行為を防ぐべき必要性が高いことは明らかであって、税理士が、申告納税制度の理念に沿って、納税義務者の信頼に応え、納税義務の適正な実現を図ることを使命とすることとされていることも併せ考慮すれば、法45条1項が、税理士によるそのような行為を懲戒事由に該当するものとして禁ずる趣旨であることは疑いの余地がないというべきである」と判断しています。

②上記行為の故意の有無(肯定)
 裁判所は、「法45条1項に規定する故意があるというためには、真正の事実に反して税務書類の作成をすることについての認識及び認容が必要であり、かつ、それで足りるものと解される。そして、この認識は、未必的なものでも足りると解すべきである」とし、X税理士には故意があったと認定しました。

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